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IoTセキュリティを強化するVPNの基礎知識

目次[非表示]

  1. 1.VPNとは?その基本概念を理解する
    1. 1.1.VPNの基本機能とその仕組み
    2. 1.2.インターネットVPNと閉域網の違い
    3. 1.3.コストとセキュリティのバランスを考える
  2. 2.IoTゲートウェイにおけるVPNの役割
    1. 2.1.IoTデバイスをインターネット接続した場合のリスク
    2. 2.2.IoTシステムでデータ漏洩を防ぐ方法
  3. 3.まとめ

VPNとは?その基本概念を理解する

VPNの基本機能とその仕組み

VPN(Virtual Private Network)とは、インターネット上での通信を安全に行うための仮想的なプライベートネットワークです。その基本的な機能は、通信データを暗号化し、第三者による傍受を防ぐことにあります。

VPNの仕組みは「仮想化」と「セキュリティ」に関する、主に4つの技術によって成り立っています。

①トンネリング
インターネット上では不特定多数間の通信が行き交っています。
トンネリングとは、公共のインターネット上にプライベートな通信経路を作成して、送受信されるデータを外部から見えない状態にし、第三者による通信内容の盗み見やデータ改ざん、不正アクセスなどを防ぐ技術です。トンネリングは②カプセル化④暗号化と併せて利用されます。

②カプセル化
データ通信は「パケット」という単位で送受信されます。その名の通り「小包」の単位に小間切れにして送るのです。「カプセル化」とは、それぞれのパケットを新しいヘッダーで包み込む(カプセル化する)ことで、元のデータを隠します。この新しいヘッダーには、送信元と送信先の情報が含まれ、データが正しい経路を通って目的地に到達するようにします。
カプセル化されたデータは解除されるまで中身を参照できないため、万が一、第三者がVPNトンネル内に侵入しても中身が見られません。

③認証
ユーザーやデバイスが正当なものであることを確認するプロセスです。これにより、不正アクセスを防ぎ、セキュリティを強化します。一般的な認証方法には、ユーザー名とパスワードの組み合わせ、デジタル証明書、二要素認証(2FA)などがあります。認証が成功すると、ユーザーはVPN接続を確立し、安全にデータを送受信できるようになります。

④暗号化
認証が突破されたり、データを盗み見られたりするリスクは排除できません。
そこで、セキュリティをさらに高めるために、送受信データに施されるのが「暗号化」です。
「暗号化」することにより、認証が突破され、データが漏洩した場合でも、解読できないようにしてセキュリティを高めることができます。

インターネットVPNと閉域網の違い

VPNには大きく分けて、インターネットを介するタイプと、介さないタイプの2種類があります。

「インターネットVPN」は、文字通りインターネットを介するタイプのVPNです。インターネット上で通信を行いますが、通信は暗号化されており、一定のセキュリティは確保されています。しかし閉域網に比べると安全性では劣ります。また、通信品質はインターネットの通信トラフィックに影響を受けるため、ベストエフォートとなります。

一方、閉域網は、そもそもインターネットを介さず、専用の回線を使用するため、さらに高い安全性を提供します。
閉域網も、機能や性能、コストにおいてさまざまなサービスレベルがありますが、主に「エントリーVPN」「IP-VPN」「広域イーサネット」の3種類があります。

「インターネットVPN」と「閉域網」の違いを図解すると以下のようになります。


VPN解説図


次に、それぞれの特長について比較すると、以下の表のようになります。


VPNの種別と特長


インターネットVPN
エントリーVPN
IP-VPN
広域イーサネット
使用する回線
インターネット回線
閉域網
閉域網
閉域網
通信品質
不安定(帯域保証なし)
不安定(帯域保証なし)
安定(帯域保証)
安定(帯域確保)
セキュリティ
ややリスクあり
やや高い
高い
非常に高い
費用
安価
比較的安価
高額
高額


コストとセキュリティのバランスを考える

コストとセキュリティのバランスを考慮することが重要です。
例えば、インターネットVPNは簡便性と低コストで広く利用されており、コスト効率の良い運用が可能です。
一方、閉域網は特定の企業や組織内での機密性の高い情報のやり取りに最適であり、金融機関や医療機関でも採用されています。これにより、企業は安心してデータを取り扱うことができ、ユーザに対しても高い信頼性を提供できます。


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IoTゲートウェイにおけるVPNの役割

IoTデバイスをインターネット接続した場合のリスク

IoTデバイスをインターネットに接続した場合のリスクとしては、以下のようなことが想定されます。

①セキュリティの脆弱性
 多くのIoTデバイスは、最新のセキュリティアップデートに追従することがおざなりになりがちで、PCやサーバなどのIT機器と比較するとハッキングされやすいです。
②プライバシーの侵害
 特にネットワークカメラなど、デバイスが収集する個人情報が第三者に漏洩する可能性があります。
③マルウェア感染
 IoTデバイスがマルウェアに感染し、他のデバイスやネットワークに拡散するリスクがあります。
④デバイスの制御奪取
 攻撃者がデバイスを遠隔操作し、DDoS攻撃の踏み台など不正な目的に利用する可能性があります。

IoTデバイスは数が多く、それらが一度に汚染されると、自社が多大な被害を受けるだけでなく、他者への加害につながる場合もあり得ます。

IoTシステムでデータ漏洩を防ぐ方法

IoTゲートウェイでは、エントリーVPNに分類される「VPN SIM」がよく利用されます。
これは、デバイスから通信事業者の基地局へ通信した後、インターネットを介さずに通信事業者の閉域網に入るものです。

データは閉域網を通過し、インターネットに露出することなく、安全に目的地に到達します。
企業側のITシステムもこの閉域網に接続する必要がありますが、インターネットを通らない本方式により、インターネット上での攻撃のリスクを排除し、安全にIoTデータを企業ITシステムに送ることが可能となります。

ただし、VPNを使っていれば万全というわけではありません。
企業は、ネットワークの監視と定期的なセキュリティ評価を行うことで、潜在的な脅威を早期に検知し、適切な対応策を講じることも必要です。

さらに、IoTデバイスのファームウェアを常に最新の状態に保つことで、脆弱性を狙った攻撃に対する防御力を高めることが重要です。これにより、企業はデータの機密性を保ち、IoTサービスのユーザに対して安心と信頼を提供することができるようになります。

まとめ

本記事では、VPNの基礎知識と、IoTデバイスにおけるVPNの役割を解説しました。

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コネクシオのIoTシステム開発課に所属し、10年以上にわたりIoTシステムの開発に携わってきた有識者。積み上げてきた知見を駆使し、お客様のご要望に合わせたシステムの提案を行います。 CONEXIOBlackBearを使って色々な実証実験を行っています。
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