
安全な端末選びの秘訣は?目には見えない、信頼性試験の重要性!
いつも弊社ブログを愛読いただき、有難うございます。
今回は、弊社が開発を手がけているIoTデバイス【CONEXIOBlackBear】を題材に、開発プロセスにおける品質管理や評価試験の重要性についてご紹介いたします。
特に、これらのデバイス管理を怠ってしまった場合に企業側が直面しうるリスクや、それが実際にお客様へどのような影響を及ぼすのかといった点について、具体的な事例や筆者自身の体験談を交えながら、わかりやすくお伝えできればと考えております。
本記事が、皆さまのDX推進や、より安全で信頼性の高いシステム構築の一助となれば幸いです。
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.実際に起きた事例
- 3.企業が被る主なリスク
- 3.1.信頼性の低下とブランド毀損
- 3.2.法的リスクとコンプライアンス違反
- 3.3.コストの増大と納期遅延
- 4.お客様への影響
- 4.1.安全性の確保
- 4.2.運用の中断や業務への支障
- 4.3.顧客満足度の低下と契約解除
- 5.リスク回避のための評価試験
- 5.1.CONEXIOBlackBearの評価試験の一部
- 5.2.実施の目的
- 5.3.実施しなかった場合のリスク
- 6.まとめ
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はじめに
2000年台始めは、汎用的に利用できるデバイスやプラットフォームが無く、お客様の用件に応じ、一品一品カスタムメイドをして提供させて頂く事が一般的でした。
筆者自身も感じますが、モバイルパソコン、特にスマートフォンの普及により、デバイスの小型化(部品の集積化)、各種ウェブ/クラウドサービスが広く浸透し、 皆さんの周りでも気軽にITやDXの検討、導入が行われ、実際に触れる機会が多くなっているのではないでしょうか。
楽天やAmazonといったECサイトでも様々なメーカーの機器を簡単に素早く、お手頃に入手出来るようになりました。簡単に入手、導入出来ることは歓迎できますが、併せて課題やリスクも伴っていることも事実です。
以降では、事例やリスクや影響、その対応についてお話していきます。
実際に起きた事例
以下に挙げるのは、他社で実際に起こったデバイス・端末にまつわるインシデント事例です。
事例1
医療機器の不具合による訴訟。
ある企業が開発した医療機器に不具合が発生し、患者に健康被害が及びました。その結果、企業は多額の賠償金を支払うことと合わせて、ブランドイメージが大きく損なわれました。
事例2
自動車部品の不良によるリコール。
自動車部品の品質管理が不十分であったため、製品に欠陥が見つかり大規模なリコールが実施されました。これにより、企業は多額の費用と信頼の損失を被りました。
事例3
特定利用の専用端末の開発にまつわる不具合。
運用するタブレット/クレードルに海外メーカー製のものを選定した際、お客様からのコストダウン要望の対応により、メーカー側で当初設計から大きく仕様変更を行いました。
動作確認や評価は実施されましたが、日本ではおなじみの環境試験や各種適合については最低限の実施となってしまった結果、クレードルとタブレット本体を接続するコネクタの接続不良(耐久性確認不足)、経年変化によるバッテリーの異常膨張(出火せず)などが発生していまい、ご利用者の不安を募らせてしまいました。
企業が被る主なリスク
コストダウンを目的として仕様に合わないデバイスを採用したり、適切な評価試験を受けていない端末を採用することにより、企業が被る主なリスクは以下のようなことが考えられます。
信頼性の低下とブランド毀損
品質管理が不十分な製品は故障や不具合が多発し、顧客の信頼を失う原因となります。
特に、医療機器や弊社の扱うIoT機器など、信頼性が求められるデバイスにおいては、ブランドイメージの毀損が致命的な影響を及ぼすと言っても過言ではありません。
法的リスクとコンプライアンス違反
品質管理を怠ると、製品が法規則に適合しない可能性があります。これにより、罰則や訴訟のリスクが高まります。
例えば、機器の不具合により利用者に被害が及んだ場合、企業は高額な賠償金を支払う可能性があります。
コストの増大と納期遅延
不良品の発生や再設計が必要になると、追加のコストや時間がかかります。
これにより、プロジェクトの予算や納期が大幅に超過する可能性があります。
お客様への影響
安全性の確保
品質管理が不十分なデバイスは、安全性が保証されていない可能性があります。
特に、医療機器や自動車部品、24時間365日稼働する産業機器などは、故障が重大な事故や健康被害につながる恐れがあります。
運用の中断や業務への支障
不具合が発生すると、デバイスの運用が停止し業務に支障をきたすことがあります。
これにより、顧客の業務効率化が低下し、損失が発生する可能性があります。
顧客満足度の低下と契約解除
品質の低いデバイスは顧客の期待を裏切り、満足度を低下させます。
最悪の場合、契約の解除や取引停止につながることがあります。
リスク回避のための評価試験
前述のような見えない不安や課題に対して、魔法のように簡単・便利で画期的な解決策は存在しません。確実な解決には、一つ一つ丁寧に確認・評価を実施し、改善を重ねていく以外に道はありません。
特にデバイス開発においては、品質管理を徹底するのがきわめて重要です。
企業の信頼性を維持し、法的リスクを回避、最終的には顧客満足度を高めるために不可欠な取り組みです。品質管理を怠れば、企業にとって多大なリスクを招くだけではなく、お客様にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
コネクシオが開発・提供するIoTデバイス【CONEXIOBlackBear】は、こうしたリスクを未然に防ぎ、お客様に安心してご利用いただけるよう、以下のような信頼性および環境面での評価試験を実施しております。
CONEXIOBlackBearの評価試験の一部
・温湿度サイクル試験(ISO16750-4 5.6準拠)
・熱衝撃試験(SAEJ1455準拠)
・ランダム振動試験(ISO16750-3 4.1.2.4準拠)
・過電圧(ISO 16750-2 4.3準拠)
・瞬時電圧低下(SO 16750-2 4.6.1準拠)
・回路ショート試験(ISO 16750-2 4.10準拠)
・静電気試験(ISO 10605準拠)
・耐電圧試験(ISO 16750-2 4.11準拠)
・絶縁抵抗試験(ISO 16750-2 4.12準拠)
【CONEXIOBlackBear】は車載可能であるという特長をもったIoTゲートウェイですが、ここで車載用途における評価試験の1つである「振動試験」(Vibration Test)を例に、どんな目的で実施し、実施しないと何が起こるのかを簡単にご紹介します。
実施の目的
車両走行中の振動・衝撃により、部品のはんだクラックやコネクタの緩みなどが発生しないかを確認。長期間の使用に耐える構造であるかを評価。
実施しなかった場合のリスク
接触不良:コネクタやピンが緩むことで通信断。
はんだ割れ:基板上のBGA、QFNなどのパッケージでクラックする。
故障再現が困難:走行中に不定期に発生する通信不良は解析が難しい。
上記のように、製品についている「車載可能」という機能を一つとっても、信頼性試験を実施し規定をクリアしたからこそ安心してユーザーにご利用いただけるようになっています。
信頼性試験とは、目に見えない安全の保障なのです。
▼車載にて利用されている【CONEXIOBlackBear】の事例はこちら!
まとめ
通常の運用においては導入効果が目に見えにくい部分もありますが、簡単に交換できず、停止も難しいようなミッションクリティカルなシステムを構築する際には、しっかりと裏付けのあるデバイス選定が欠かせません。
提供する企業側と、実際に運用されるお客様の双方が安心して運用できる環境を整えることが、私たちの重要な責務であると考えております。
コネクシオでは、フットワーク軽くお客様の現場に伺い、実際の運用環境や状況を的確に把握した上で、不安の払拭につながる要件定義から、具体的な開発作業(ハードウェア設計、ソフトウェア開発、各種クラウドサービスの構築など)まで一貫して対応可能な技術者が常駐しております。
また、前述の【CONEXIOBlackBear】や、以前のブログ記事でご紹介した各種ソリューションについても、当社内でしっかりと評価・検証を行った上でご提供しております。
評価試験用の端末をご用意することはもちろん、それぞれのユースケースに合わせた最適なご提案が可能です。
さらに、機器やソフトウェア/アプリケーションについても、お客様のご要望に沿ったカスタマイズを漏れなく実施しております。
これまでの導入経験の中でご不安やご不満を感じられた方は、ぜひ一度、弊社の門を叩いてみてください。
必ずや、安心と納得のいくご提案をさせていただきます。
▼コネクシオのIoTゲートウェイ【CONEXIOBlackBear】の詳細はこちら!
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