設備保全のDX化が求められる理由とは? IoTの導入効果についても解説
設備保全は、社内の生産設備やシステムを安定稼働させて、事業を継続するために欠かせない取組みの一つです。設備停止や故障などによる損害を防ぐには、定期的な点検とトラブルの早期発見が重要です。
しかし、設備保全には専門的な知識・技術が求められるほか、現場の人手不足も深刻化していることから、「点検・監視業務の負荷が大きい」「保全業務や管理体制が属人化している」といった課題を持つ企業もあります。
このような課題に対応するために、設備保全のDX(Digital Transformation:デジタル・トランスフォーメーション)化を図ろうと検討している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、設備保全の概要をはじめ、DX化が求められる理由について解説します。
目次[非表示]
▼おすすめの関連記事
「設備・機器に対する異常検知とは? 機械学習による対策方法」
「設備保全とは? 種類やIoT導入による効果について解説 」
「製造業が直面する課題と人材難・IT化・技術継承の解決策 」
設備保全とは
設備保全とは、生産設備や機械、IT機器などを安定して稼働させるために、点検、メンテナンス、修理などを行う業務のことです。
これらの設備・機械は、長く使用し続けると経年劣化によって消耗・故障したり、性能が低下したりします。このような状態で使用すると、設備停止が起こり、業務や生産ができなくなる、不良品が発生するなどのトラブルが発生する可能性があります。
こうしたトラブルを防ぐためには、日常的に設備・機械の点検・検査を行い、劣化具合に応じて部品交換や修理などを行うことが欠かせません。
設備保全は、大きく3つの種類に分けられます。
▼設備保全の種類
種類 |
業務内容 |
予防保全 |
保全計画に基づいて一定の間隔で点検・修理・部品交換を行う |
事後保全 |
不具合・故障・性能低下が起きてから修理や部品交換を行う |
予知保全 |
不具合・故障の兆候を検知して、修理や部品交換を行う |
上記のうち、予知保全については、設備・機械の稼働データを取得して、故障の兆候を見極める必要があります。このような設備保全の仕組みを構築するには、IoTやAIといった技術の活用が欠かせません。
なお、設備保全の種類については、こちらの記事で詳しく解説しています。
設備保全のDX化が求められる理由
DXとは、ICTやIoTなどのデジタル技術を活用して、ビジネスモデル、社会、人々の生活を変化させることです。
設備保全のDX化が求められる理由には、主に次の2つが挙げられます。
①人手不足
1つ目は、現場の人手不足です。
設備保全の現場において、人手による点検・巡回を行っている場合、労力・時間がかかりやすくなります。人手不足が発生していると、巡回点検の業務に十分な時間を割けない、または必要人材を投入できないといった課題につながります。
限られた人材で効率的かつ適切な保全業務を行うには、IoTやITシステムを活用して、人手による巡回点検を効率化・省人化することが必要です。
②技術継承
2つ目は、設備保全業務の技術継承です。
設備保全業務では、機械に関する専門知識や、点検・修理に関する技術が必要です。人手による管理をベースとした設備保全を行っている場合、熟練者の知識や経験に依存しやすく、業務が属人化しやすいといった課題があります。
過去の故障事例や修理対応などの情報が社内で蓄積されていなければ、若手人材の育成も進みません。
設備保全業務の技術継承を促進させるには、IoTやITシステムを導入して、保全活動に関わるデータを収集・蓄積・共有できる環境の構築が求められます。
また、若手人材の育成に向けて、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術を取り入れながら、遠隔での作業指示や、作業方法の標準化を図ることも重要です。
DXを実現するIoTの導入効果
設備保全のDX化に欠かせない技術として、IoTが挙げられます。センサーやIPカメラを通じて、設備・機械の稼働状況をデータとして収集・可視化することで、さまざまな効果が期待できます。
IoTの導入によって得られる効果には以下が挙げられます。
▼IoTの導入効果
- 業務の効率化
- 品質の向上
- 技術・ノウハウの継承
- 予知保全の実現
IoTを導入することにより、設備機器の遠隔監視や作業の遠隔指示を行えます。管理者が設備モニタリングを実施すれば、人手による定期的な巡回点検も不要です。
現場の作業員による点検・修理が必要な場合には、技術者がバックヤードにいながら、遠隔地から作業指示を行うことで、業務の効率化・時間短縮に貢献します。
また、保全計画の作成、データ登録などをシステム上で自動化することによって、人的ミスや作業漏れを防ぎ、品質の向上も期待できます。
そのほか、保守点検・修理のデータを蓄積したり、熟練者の作業映像を記録したり、作業マニュアルの作成や人材教育に役立てられます。
さらに、IoTで設備機械の軽微な変化や異常動作を検知できる環境を構築できれば、故障前の修理・メンテナンスが可能となり、予知保全の実現につながります。
まとめ
この記事では、設備保全のDX化について以下の内容を解説しました。
- 設備保全の概要
- DX化が求められる理由
- DX化を実現するIoTの導入効果
設備保全における人手不足や技術継承などの課題を解消するために、DX化が求められています。DX化を図ることで、業務の効率化や品質向上、技術・ノウハウの継承、予知保全の実現といったさまざまな効果が期待できます。
「アナログな保全体制で負荷がかかっている」「熟練者の技術・ノウハウをうまく活用できていない」などの課題をお持ちの場合は、DX化を進めてはいかがでしょうか。
▼おすすめの関連記事
「設備・機器に対する異常検知とは? 機械学習による対策方法」
「設備保全とは? 種類やIoT導入による効果について解説 」
「製造業が直面する課題と人材難・IT化・技術継承の解決策 」