設備保全とは? 種類やIoT導入による効果について解説
設備保全とは、工場の定期点検・監視をはじめ、定期整備、故障の修理などを行う業務を指します。工場内の設備・機械を円滑に稼働させ、トラブルを防ぐために必要不可欠な取り組みの一つです。
工場内の設備が故障してしまった場合、商品の品質低下、納期の遅延などが発生するリスクがあります。そのため、迅速かつ正確な保全活動を行うことが重要です。
設備保全に関わる業務を効率化し、メンテナンスの適正化を図るには、IoT活用が欠かせません。この記事では、設備保全の種類や重要性、IoT導入の効果について解説します。
目次[非表示]
- 1.設備保全の種類
- 2.設備保全の重要性
- 3.IoT導入による設備保全の効果
- 3.1.点検・監視業務の効率化
- 3.2.設備保全業務の標準化
- 3.3.コストの削減
- 4.まとめ
設備保全の種類
設備保全には、主に3つの保全方式があります。
①予防保全
予防保全は、故障や不具合が発生しないよう、定期的に点検・修理等を行う保全方式です。設備や機械の故障を未然に防ぐことが目的です。
予防保全は大きく2種類に分けられます。
時間基準保全
時間基準保全は一定期間に従って点検・修理を実施する保全方式です。故障の有無にかかわらず、定期的に点検・部品交換を行うため、保全コストが増加しやすい特徴があります。
状態基準保全
状態基準保全は設備の状態を監視し、その状態に応じて修理を実施する保全方式です。必要に応じて修理・部品交換を実施するため、ムダなコストがかかりにくい特徴があります。なお、状態基準保全にITやIoTを取り入れることで、予知保全を行うことが可能です。
②事後保全
事後保全は、設備の故障や性能の低下、不良品の発生といった不具合が起きてから保全を行う方式です。故障の原因を明らかにして、速やかに復旧することを目的に行われます。
トラブルが発生してから対応するため、点検や修理によるダウンタイムが生じることが特徴です。遅延や生産停止によるコスト損失のリスクを回避するためには、予防保全・予知保全などと組み合わせて実施する必要があります。
③予知保全
予知保全は、設備・機械の故障や不具合の予兆を察知して保全を行う方式です。
予防保全と同様に、“故障を未然に防ぐこと”が目的ですが、保全の実施タイミングは“故障の予兆が出た場合のみ”です。不必要な点検や部品交換が不要になるため、設備保全にかかる工数・コストを抑えられる特徴があります。
予知保全を実施するには、工場内にある各設備から稼働データを取得し、故障の可能性を分析できるIoTやAIツールが必要です。
設備保全の重要性
設備保全は、生産現場のさまざまなトラブルを防ぐうえで重要な役割を持ちます。
ひとたび設備機器の故障が発生すれば、生産ラインの停止、生産効率の低下やダウンタイムによるコスト・機会の損失が発生するリスクがあります。
また、設備の不具合によって不良品が発生すると、それらの回収や再生産も必要です。設備の故障や不具合が原因で現場の重大事故につながるリスクもあります。
このようにライン停止や修理によるコスト損失、不良品の発生による対応、現場事故の発生を防ぐために、設備保全を適切に実施することが重要です。
IoT導入による設備保全の効果
適切かつ効率的に設備保全を実施するにはIoTの導入が有効です。設備保全にIoTを導入することで、さまざまな効果が期待できます。
点検・監視業務の効率化
工場内に複数の設備・機械がある場合、人手による点検・監視業務の負荷が大きくなってしまいます。
IPカメラを導入して設備・機械の稼働状況を監視することで、巡回・点検業務の省人化が可能になります。これにより、労力がかかっていた保全業務の効率化が可能です。
▼点検・監視業務を効率化する『メーター読み取りソリューション』
アナログメーターやランプにIPカメラを設置することで、データの読み取りが可能です。アナログメーターの目視点検を自動化できるため、点検業務の省人化・効率化、誤検針の防止につながります。
設備保全業務の標準化
設備保全では、点検・修理に関するさまざまな技能やノウハウが求められます。そのため、熟練担当者の経験に依存しやすく、業務が属人化してしまうといった問題があります。
IoTを導入することで、設備点検や修繕、メンテナンスといった業務の標準化を図ることが可能です。
▼設備保全業務の標準化に有効な『ポンプ設備の安心パック』
ポンプ設備にIoTセンサーを設置して、電力や振動レベルなどのデータを見える化できます。社内の点検水準を均一にすることで、点検業務の属人化を解消できます。
コストの削減
予防保全において不要なメンテナンスや部品交換が発生すると、点検にかかる人件費や部品代といった保全コストの増加につながります。
また、トラブル発生後に対応する事後保全では、復旧までのタイムラグによりコスト損失につながるという問題もあります。
IoTを導入して予知保全が可能になることで、点検・修理の回数を適正化し、メンテナンスコストを削減できます。さらに、設備の突発的なトラブルを減らせるため、修理やダウンタイムによるコスト損失を防ぐことも可能です。
まとめ
設備保全は、製造現場の生産効率向上やトラブル防止のために欠かせません。
IoTを活用して設備保全に取り組むことで、保全業務の効率化や点検精度の標準化、コスト削減を図ることが可能です。
生産効率の向上やコストの最適化に向けて、設備保全のソリューションを選択してみてはいかがでしょうか。
▼今回ご紹介したソリューション一覧
- メーター読み取りソリューション
- ポンプ設備の安心パック