浄水場ポンプ施設での設備予兆保全
 
~ICTを活用した効率的かつ持続的な維持管理方法の確立~

横浜市水道局 様
横浜市水道局様は、ICTを活用したポンプ設備の維持管理手法の確立に向け、水道事業体初の試みとしてドローンとIoTセンサーを組み合わせた実証実験を仏向ポンプ場にて2025年3月まで実施します。
コネクシオはウィットシステムズ株式会社と連携し、IoTセンサとゲートウェイによる振動データ、回転計データの収集と見える化システムを担当しました。

  • ポンプ設備の機能維持を目的に、市内23か所のポンプ場で職員による巡視・点検を実施しているが、移動による時間と複数名の労力がかかっていた
  • 異常判断は経験豊富なベテラン職員の技術を必要としているが、退職が控えている
  • ポンプが故障することにより大規模な断水につながるため、巡視・点検は定期的に行わなくてはならない
  • ドローンやセンサを活用することで、ポンプ施設を遠隔監視可能となり、現場に出向く回数の減少、技術の形式知化へつながる
  • 「時間基準保全(定期保全)」=TBMから、機器や設備の劣化傾向を管理する「状態基準保全(予兆保全)」=CBMを実現する事ができる

【コネクシオ提供サービス】
CONEXIOBlackBear
通信SIMサービス TRIBE-biz
ArmadilloーIoT A6E
振動センサ
・予兆保全アプリケーション CBM-X

ポンプ設備の巡視・点検に人員と時間がかかっていた


横浜市水道局の仏向ポンプ場は、昭和48年に建設され、保土ヶ谷区と旭区の一部エリアの給水を担う5台の配水ポンプを所有しています。
横浜市は市域全体が起伏の多い丘陵地帯であることから、多くの地域でポンプによる配水が必要な土地であり、市民給水の役割を担うポンプ場の機能維持のため、市内23か所のポンプ場における職員による巡視・点検が欠かせません。

横浜市水道局によるポンプ配水のイメージ

 

巡視・点検は1カ月に1回、約4名の人員で行われますが、執務室からの移動に往復最大2時間かかること、巡視・点検における異常判断は経験に基づくノウハウ・技術力が必要となりますが、今後多くのベテラン職員の退職が控えていることなど、時間的な労力や経験を持つ人員の減少が課題となっていました。

ドローンやセンサを導入することによるICTを活用したデータ監視


横浜市水道局はICTを活用したポンプ設備の維持管理手法の確立に向け、水道事業体初の試みとして、ドローンとIoTセンサーを組み合わせた実証実験を実施。

横浜市水道局 仏向ポンプ場
施設の地下に5台のポンプが設置されている

・ドローンによる自動巡視で現行の巡視を代替
・ポンプ軸受け部の劣化状態把握をIoTセンサで常時監視

事業の有効性を確認するための実証の場に仏向ポンプ場が選ばれ、ポンプ場内をドローンが自動飛行により巡回し、狭所での飛行可否や、ドローンが撮影した映像を執務室から確認できるか検証します。
また、ポンプと電動機にIoTセンサを取り付け、定期的に自動計測した振動データ等を執務室から確認するとともに、振動データからポンプの劣化兆候が判断できるか検証します。

本実証実験においてコネクシオは、ウィットシステムズ株式会社と連携しIoTセンサとゲートウェイによる振動データ、回転計データの収集と見える化システムを担当します。

モーターの振動と回転計のデータを掛け合わせて異常検知をすることで、予知保全の場面で優れているといわれる振動データのみならず、多角的な視点でデータを提供することが可能となる点を評価いただき、コネクシオを採用いただきました。

コネクシオ提供 システム構成概要


POINT 01
ポンプ軸受け部4ヵ所の振動センサから振動データをIoTゲートウェイに取得
POINT 02
モータ回転数を1F電気室計装盤内のアイソレータ出力からIoTゲートウェイに取得
POINT 03
取得データはクラウドサーバにLTE回線(VPN)で送信
POINT 04
クラウドBIツールCBM-Xで、演算処理、傾向監視、AIによる異常判定などを実施。異常と判断された場合はメール通知

<主旨・特徴>
■IoTゲートウェイを通じて振動データと回転計データを収集し、振動の増減と回転数の変動の関係性をBIツールで比較することで、
 単一のデータでは捉えきれない異常を検知することを目指します。
■これにより、人が行うと同等以上の異常検知を遠隔で行う事を可能にし、点検・保守業務の効率化に貢献します。

巡視・点検の省力化 TBMからCBMへメンテナンス変化を期待


本実証試験は、令和7年3月まで実施する予定です。遠隔巡視の有効性が確認できた場合は、市内の配水ポンプ場23箇所にドローンとセンサを順次導入し、ICTを活用した効率的なポンプ設備の維持管理を進めていきます。

本実証実験を通じ横浜市水道局は、職員の視覚や聴覚に頼っていたもの技術をドローン、センサにより代行し、ベテラン職員の技術にのみに頼らない監視を目標とし、「時間基準保全(定期保全)」=TBMから、機器や設備の劣化傾向を管理する「状態基準保全(予兆保全)」=CBMを実現する、ポンプ設備の巡視・点検を省力化(現場に出向く回数の減、技術の形式知化など)を目指します

コネクシオは本実証実験における知見を活かし、今後も各自治体のICTを活用したDXへの取り組みを支援いたします。

横浜市水道局仏向ポンプ場における実証実験の様子


巡視・点検でポンプを撮影するドローンと
リアルタイムで映し出される画面

ポンプに設置された振動センサ

電気室から回転計データを取得する
ArmadilloーIoT A6E

ドローンによるメーターの点検画面
モニターを通しても目視で状態の確認ができる

ポンプ場内に設置されたCONEXIOBlackBear
BLEで振動センサのデータを取得しクラウドへ飛ばしている

取得したデータを可視化する「CBM-X」のクラウド画面

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