海外拠点にIoTを導入する際の課題と解決策
ICT技術やIoTサービスの発展、社会経済活動のグローバル化によって、国境を越えた情報流通、ビジネスが進展しています。
そうしたなか、企業が国際競争力を維持しつつ、持続可能な成長を図るには、海外拠点との円滑なデータ連携やIoT技術の標準化を図ることが必要です。
海外拠点を持つ企業のなかには、現地でのIoT展開に課題を抱えており、国内からのネットワーク拡大に踏み切れないというケースもあるのではないでしょうか。
この記事では、IoTデバイスの普及状況をはじめ、海外へのIoT導入課題と解決策について解説します。
出典:総務省『第8節 ICT国際戦略の推進』『第7節 ICT研究開発の推進』
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IoTデバイスの普及状況
近年、ICT技術やIoTセンサーの進化などを背景に、インターネットとつながるさまざまなIoTデバイスが登場しており、IoTデバイスは世界で急速に普及しています。
世界中にあるモノや拠点がインターネットにつながる時代が到来したといわれるなか、IoTデバイスの急速な普及はデータにも表れています。
2016年に173.2億台だった世界のIoTデバイス数は、みるみる増加し、2020年には253.0億台です。さらに、2023年には340.9億台まで増加すると予測されています。
▼世界におけるIoTデバイスの推移と予測
画像引用元:総務省『平成30年版 情報通信白書』
IoTデバイスのカテゴリ別でみると、パソコンやスマートフォンなどで使用するセルラー通信やWi-Fiといった無線通信端末・インフラは、2016〜2020年すべての時期で80%以上の割合を占めています。
ただし、これらのIoTデバイスの市場はすでに飽和状態です。今後は、医療やコンシューマー、産業用途、自動車・宇宙航空などの分野において、IoT化の進展が見込まれています。
▼分野・産業別のIoTデバイス数と成長率予測
画像引用元:総務省『平成30年版 情報通信白書』
IoTデバイスの市場は今後も拡大していくと予測されており、海外でのIoT活用の需要も高まると考えられます。
出典:総務省『平成30年版 情報通信白書』『令和3年版 情報通信白書』
海外へのIoT導入課題
今後も成長が見込まれるIoTデバイスですが、海外拠点へとIoT活用を拡大させるためには、インフラ面での課題があります。
ネットワーク環境の整備
海外でIoTのデータ連携を行うためには、ネットワークの接続環境を整備する必要があります。
▼海外でIoTネットワークを利用する方法
①現地の通信キャリアと契約する
②ローミングサービス(※)を利用する
①の場合、現地で個別の契約交渉を行う際に手間がかかるほか、地域によっては現地キャリアがつながらないエリアの可能性があります。
②に関しては、①と比べてコストが高くなりやすいという点が課題です。
※ローミングサービスとは、通信事業者間が連携して、利用者の契約しているサービス事業者のエリア外でインターネット接続ができるサービスのこと。
IoTデバイスの制約
利用するIoTデバイスに認証や法規制の制約があることも、海外へのIoT導入課題の一つとして挙げられます。
IoTのように無線通信を行うデバイスには、通信の種類によって周波数や変調方式などの規格が定められています。
たとえば日本では、電波法令で定められている基準に適合していることを証明する
“技適マーク(技術基準適合証明)”がついていない無線機は使用できません。
▼技適マーク
画像引用元:総務省『技適マーク、無線機の購入・使用に関すること』
海外でIoTデバイスを利用する場合も、日本の技適マークに相当する認証を取得する必要がありますが、複数の国に対応した機器が見つからない可能性があります。
また、GDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)のような、個人データの取扱いについて定められた各国の法令を遵守することも必要です。
海外で利用するIoTデバイスの制約によって、国ごとに異なるデバイス・システムの構築が必要になるケースがあります。
出典:総務省『技適マーク、無線機の購入・使用に関すること』
海外へのIoT導入課題の解決策
海外へのIoT導入の課題を解決する方法として、グローバル対応のIoT通信サービスとゲートウェイを導入することが挙げられます。
グローバルIoT通信サービス『WING』
グローバルIoT通信サービス『WING』は、丸紅ネットワークソリューションズさまが開発・提供するグローバルIoT通信サービスです。
各国の通信規制に応じて現地のキャリアと接続するため、国や通信形態に依存せず、IoTのネットワークを整備できます。国ごとに通信キャリアと契約する必要がなく、198の国や地域でデータ通信を行うことが可能です。
海外からのアクセス時には、ローミングのように日本のネットワークを経由せず、最寄りのAP(アクセスポイント)からアクセスするため、通信費を大幅に削減できます。
世界の国・地域の拠点において、IoTネットワークを構築する場合に有効なサービスといえます。
ゲートウェイ『CONEXIOBlackBear』
『CONEXIOBlackBear』は、国内で構築したIoTシステムを海外で利用できる、コネクシオのゲートウェイです。
各国の電波法に準拠したLTEモジュールを挿抜できる設計となっているため、認証済みのゲートウェイを現地調達する必要がありません。
また、ゲートウェイとOSが共通となっているため、アプリケーションの移植も必要ないことが特徴です。
さらに、海外拠点での適合認証や法規制の制約を受けないため、IoTデバイスの海外展開をスムーズに実行できるメリットもあります。
まとめ
この記事では、海外でのIoT活用について以下の項目を解説しました。
- IoTデバイスの普及状況
- 海外へのIoT導入課題
- 海外へのIoT導入課題の解決策
ICT技術やIoTサービスの進化に伴い、世界におけるIoTデバイスの市場拡大が予測されており、海外でのIoT活用が広がると考えられます。
一方で、海外でIoTを展開するには、ネットワーク環境の整備やIoTデバイスの制約など、インフラ面での課題があります。このような課題を解決するには、海外との接続に対応しているIoT通信サービスやゲートウェイの導入が有効です。
コネクシオでは、現地キャリアとの契約が不要なIoT通信サービスや、各国の電波法に対応できるゲートウェイを提供しています。
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