
IoTゲートウェイのLTE通信|バンドとアンテナ減衰の注意点
コネクシオではIoTゲートウェイを取り扱っていますが、主要な通信機能であるLTE通信について、お問合わせ頂くことがよくあります。今回は、LTE通信のなかでも、バンド(周波数帯)とケーブルタイプのアンテナの減衰について解説したいと思います。
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通信事業者ごとに割り振られているバンド
日本国内では、通信事業者(以下、キャリア)ごとに無線通信のバンド(周波数帯)が割り振られています。

図1 キャリア別バンド対応表
出典元 https://www.soumu.go.jp/main_content/000798884.pdf
日本国内のキャリアに割り振られているバンドの種類は、 バンド1、3、8、11、18、19、21、26、28、42です。基地局が設置される地域の状況に応じて、対応しているバンドが変わってきます。(都市部、山間部、郊外、利用者の多いところなど)
周波数帯(バンド)ごとに主な設置地域を大まかに分けると以下の通りとなります。
表1 周波数帯ごとの設置地域
周波数帯 | 対応バンド | 主な設置地域 |
|---|---|---|
低周波数帯 (700MHz帯〜900MHz帯) | 8、18、19、26、28 | 広域をカバー、地方や郊外、屋内・地下などに展開 |
中周波数帯 (1.5GHz帯〜2.0GHz帯) | 1、3、11、21 | 都市部での補完等に利用 |
高周波数帯 (3.5GHz帯) | 42 | 高速・大容量通信、都市部や駅周辺など |
注)設置地域によっては必ずしも上記の通りとならない場合も御座います。
IoTゲートウェイの対応バンド
コネクシオで取り扱っているIoTゲートウェイのうち、CONEXIOBlackBear、Armadillo-IoT G4、Armadillo-IoT A9Eが対応するバンドと日本国内のキャリアに割り振られているバンドの関係は下表のようになります。
表2 IoTゲートウェイが対応しているバンド
日本国内のキャリアに割り振られているバンド | 1 | 3 | 8 | 11 | 18 | 19 | 21 | 26 | 28 | 42 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
CONEXIOBlackBear | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
Armadillo-IoT G4 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
Armadillo-IoT A9E | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
この表よりバンド11、21、42は3機種とも対応してないことが分かります。
また、スマートフォンの代表例としてiPhoneをWEBサイトで確認すると、上記の全てのバンドに対応しています。(https://www.apple.com/jp/iphone-17/specs/を参照)
このことから、スマートフォンが圏内であっても、IoTゲートウェイが対応していないバンドのエリアの場合は圏外となる場合があることがわかります。
ケーブルタイプのアンテナと減衰
IoTゲートウェイの設置場所として、制御盤等の金属の箱の中に入れる場合がありますが、通常、電波は金属で遮蔽されてしまい通信ができません。その場合は、ケーブルタイプのアンテナ(※1)を使用することで金属の箱の外にアンテナを引っ張っていて設置することで、電波を送受信することが可能となります。

図2 Armadillo-IoT G3用5mアンテナ
ただし、ケーブルタイプのアンテナはケーブル部分で電波の減衰が生じます。一般的に良く使われている、1.5D-2Vのケーブルで減衰量は約0.98dB/m(@1GHz)(※2)となります。
仮に上記の条件でアンテナケーブルを30mにすると、約30dBほど減衰することになります。これは、通常、LTEが圏内のエリアでも、圏外となる可能性がある減衰量となります。特に電波が強くない地域では圏外となる可能性が高いと考えられます。
(一般的にアンテナのケーブル長は、長くても5~10m程度までの物が多いです。)
また、アンテナ自体に周波数特性があり、周波数によって性能が変わり、利得が下がる(電波の送受信しにくくなる)周波数帯が存在する場合もあります。(全てのバンドが同じ性能ではない場合があります。)
※1:使用可能なアンテナは、電波法で規制されておりますのでIoTゲートウェイの販売元にご確認ください。
※2:この値は参考値となります。ケーブルの種類、メーカーの違い、周波数等によっても変動します。
まとめ
LTE通信のなかでも、バンド(周波数帯)とケーブルタイプのアンテナの減衰について述べてきましたが、それらを踏まえて、IoTゲートウェイを使用される場合は、以下のことを考慮して頂けると宜しいかと思います。
- IoTゲートウェイを設置する場所について、キャリアが公開しているエリア情報の確認をするだけでなく、現地で、スマートフォンではなく、使用するIoTゲートウェイの実機を使用して、LTE通信に支障がないか、事前確認・検証されることをお勧めします。
- ケーブルタイプのアンテナを使用される場合は、ケーブルの長さに比例して電波が減衰するため、必要最低限の長さを選択されることをお勧めします。
弊社でIoTシステムのご提案をする際は、上記のような、使用していただく上での問題点を踏まえたご提案や、現地での通信確認等を実施することも可能ですので、お気軽にお声がけいただければ幸いです。
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