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省電力通信の切り札:LTE Cat.M1とは?

目次[非表示]

  1. 1.IoTにおける省電力通信の必要性と特長
    1. 1.1.省電力通信技術LPWAとは
    2. 1.2.LTE Cat.M1とは
  2. 2.LTE Cat.M1の基本技術仕様と特長
    1. 2.1.省電力性能で選ばれる理由
    2. 2.2.通信速度の理論値と実用性
  3. 3.LTE Cat.M1が提供するIoT向け利点
    1. 3.1.日本全国のLTE通信網を活用
    2. 3.2.間欠動作での電力消費の最小化
  4. 4.LTE Cat.M1と他のLTEカテゴリーの比較
    1. 4.1.Cat.M1 vs Cat.1
    2. 4.2.高速通信が必要な場合の選択肢
  5. 5.LTE Cat.M1の利用ケースと事例
    1. 5.1.インフラ監視における導入事例
    2. 5.2.設備監視における導入事例
  6. 6.他のLPWA技術との違い
    1. 6.1.NB-IoTやLoRaWANとの比較分析
  7. 7.導入・運用コストを抑えるためのポイント
    1. 7.1.適切なIoTゲートウェイの選定


IoTにおける省電力通信の必要性と特長

省電力通信技術LPWAとは

IoTにおいて、機器のバッテリー消費を抑えながら、データを収集する基地局まで届けることができるLPWA(Low Power Wade Area)という無線技術が注目を集めています。LPWAとは、少ない消費電力でkm単位の距離で通信できる無線通信技術の総称です。

LTE Cat.M1とは

LPWAには、さまざまな通信方式がありますが、LTE Cat.M1はそのうちのひとつです。「LTEカテゴリーM1」と表記されることもあります。LTEカテゴリごとの特長は以下の通りです。


主要LTEカテゴリの性能(理論値)と主な用途
カテゴリ名
速度(下り)
速度(上り)
主な用途
Cat.4
150Mbps
50Mbps

スマートフォン、ビデオ監視、データ量の多い遠隔監視、予測分析など

Cat.1
10Mbps
5Mbps

遠隔監視、車両テレマティクスなど


Cat.M1
1Mbps
1Mbps

環境モニタリング、資産追跡(位置トラッキング)、スマートメーター、スマート農業など


この中で、LTE Cat.M1は、特に省電力性能が求められる環境でその真価を発揮します。できるだけメンテナンスコストを減らしたいインフラ監視や設備監視を行う企業にとって、この技術は非常に魅力的な選択肢となります。

さらに、この通信規格は既存のLTEインフラを活用できるため、追加の設備投資が少なくても全国的にサービスを展開できるという利点もあります。加えて、LTE Cat.M1はその適用範囲の広さから、様々な業種での活用が期待されています。これにより、地理的制約を超えて、さまざまなエリアでのIoTデバイスの安定した運用が可能となります。

LTE Cat.M1の基本技術仕様と特長

省電力性能で選ばれる理由

LTE Cat.M1は、他の通信規格と比較して非常に低い電力消費を実現しています。そのための仕組みとして大きく2つ特長があります。

1つめは、「拡張DRX(eDRX)」です。
これまでLTEの規格では電話が着信して呼び出す仕組みとして、数秒周期で呼び出しを待っていました。これを最大40分間隔といった程度まで周期を延ばし、間欠的に受信を行うようにして、その分、電力を節約するわけです。

もう1つは「カバレッジ拡張(Coverage Enhancement)」という通信距離拡大の仕組みです。
同一信号を繰り返し複数回送信することにより受信信号のエネルギーを増大させ、従来のLTE移動機では受信できないような信号強度の低い場所でも、データ受信が可能になります。

これらの仕組みにより、バッテリー駆動のデバイスでも長期間にわたり安定した通信が可能です。必要なときだけ起動し、その他の時間はスリープモードでエネルギーを節約する「間欠動作」に対応しており、さらに電力消費を抑えることができます。

こうした特長から、LTE Cat.M1は長期間の運用が必要なIoTデバイスに適しており、特にインフラや設備の監視システムにおいて、その強みが発揮されます。これにより、例えば遠隔地に設置されたセンサーでも、頻繁なメンテナンスが不要となり、運用効率を大幅に向上させることができます。この特性は、特にメンテナンスコスト削減のメリットをもたらします。

通信速度の理論値と実用性

LTE Cat.M1の理論上の通信速度は上り1Mbps、下り1Mbpsです。この速度は、データ量の少ないセンサー情報やログデータの送受信に十分対応可能で、特にリアルタイム性を求められないIoTアプリケーションに最適です。

実際の運用においても、この通信速度は多くのシステムで満足のいくパフォーマンスを提供し、安定した通信環境を確保します。また、この速度は、例えば環境データのモニタリングや簡易な警報システムなど、リアルタイム性をそれほど必要としない用途であれば十分な性能を発揮します。このため、LTE Cat.M1は多くのIoTプロジェクトにおいて、信頼性の高い通信基盤として選ばれています。


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LTE Cat.M1が提供するIoT向け利点

日本全国のLTE通信網を活用

LTE Cat.M1は既存のLTE通信網を利用できるため、全国範囲での通信が可能です。これにより、地方や山間部などの通信インフラが整備されていない地域でも、安心してIoTデバイスを運用することができます。

また、都市部においても、通信の安定性や信頼性が高く、業務効率の向上や迅速なデータ収集を可能にします。この全国的なカバレッジは、特に広範囲にわたるデバイスネットワークを構築する際に大きなメリットとなり、スムーズな通信環境を提供します。

間欠動作での電力消費の最小化

間欠動作対応の通信モジュールを使用することで、デバイスが必要な時だけ起動し、その他の時間はスリープモードに入ることができます。これにより、例えばインフラ監視システムにおいては、バッテリー交換の頻度を大幅に減らすことが可能になります。この特性は、特に遠隔地やアクセスが難しい場所での運用において、メンテナンスの効率化とコスト削減に寄与します。
また、都市部の密集地でも、デバイス数が多くなるほど電力管理が重要となるため、この機能は大規模なデバイスネットワークにおいても非常に効果的です。

LTE Cat.M1と他のLTEカテゴリーの比較

Cat.M1 vs Cat.1

Cat.1はCat.M1に比べて高速な通信が可能ですが、その分電力消費が高くなります。長期間の運用を考慮する場合、特にバッテリー駆動のデバイスではCat.M1が有利です。電力消費の観点から、Cat.M1は多くのIoTアプリケーションにおいて理想的な選択肢となります。
特に、データ量が少ないが頻繁に通信が必要なシステムにおいては、Cat.M1の省電力性能が際立ちます。これにより、デバイスのメンテナンスコスト削減と寿命延長を図ることができます。

高速通信が必要な場合の選択肢

画像や動画など、大容量データを扱う場合はCat.1やCat.4が適しています。これらはCat.M1に比べて高速な通信が可能で、リアルタイム性を求めるアプリケーションに向いています。
さらに、これらのカテゴリーは、データの大量送信が必要な場面で、その通信能力を最大限に発揮します。
例えば、監視カメラによる動画ストリーミングや、リアルタイムの機械制御が求められる産業用途などでは、高速な通信が必須となり、これらの技術がその真価を発揮します。

LTE Cat.M1の利用ケースと事例

インフラ監視における導入事例

あるエネルギー会社では、山間部のガス検針業務にLTE Cat.M1を導入したことで、社員が行く必要がなくなり、毎月の業務負担を大幅に削減することができました。毎日の検針情報も取得できるようになりましたので、ガスの配送業務の合理化にも繋がります。また、クラウドサービスにより、異常があったときにアラームを見ることができるようになりました。
この手法により、検針業務と配送業務の効率化、お客様向けのウェブサービスの提供を進めています。

設備監視における導入事例

ある自治体では、ゲリラ豪雨等の防災・減災対策として、道路灯の自動点滅器の故障や照明の不点灯、稼働情報を通知する仕組みを導入しました。このシステムにより、故障対応の迅速化や適切なメンテナンス時期の把握ができるようになりました。
また、管理する街灯の数は2000台以上にも上ることから、モニタリングすることにより、更新時期を算出することもできるようになりました。

他のLPWA技術との違い

NB-IoTやLoRaWANとの比較分析

NB-IoTはより低消費電力での通信が可能ですが、通信速度が遅いため、大量データを扱う場合には適していません。
一方、LoRaWANは免許不要の周波数帯を利用できる利点がありますが、通信距離やデータ量に制約があります。

これらの技術は、用途や目的に応じて使い分けることが重要です。例えば、都市部のスマートシティーアプリケーションでは、LoRaWANの長距離通信が有利ですが、通信の安定性が求められるインフラ監視にはLTE Cat.M1が適しています。

企業はそれぞれの技術の特性に応じた最適なソリューションを選択することで、より効率的なシステム運用を実現できるでしょう。

導入・運用コストを抑えるためのポイント

適切なIoTゲートウェイの選定

このように省電力通信にはさまざまな方式があります。その中で、LTEは国際標準化機関3GPPが仕様を定めており、その一部であるCat.M1はスタンダードで、信頼性や仕様の継続性にも優れていると言えるでしょう。

IoTゲートウェイ選定の際は、使用環境やデータ量に応じ、省電力性能を最大限発揮できるデバイスを選ぶことがポイントの1つです。それによって、デバイスの長期運用が可能となり、メンテナンスコストを削減することができます。

さらに、技術の標準化動向や将来性も鑑みて検討することで、将来的な拡張や技術の進化にも柔軟に対応できるシステムを構築することができます。

コネクシオでは、省電力通信に対応した幅広いIoTゲートウェイ製品ラインナップを取り揃えております。
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Mr.Bear

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コネクシオのIoTシステム開発課に所属し、10年以上にわたりIoTシステムの開発に携わってきた有識者。積み上げてきた知見を駆使し、お客様のご要望に合わせたシステムの提案を行います。 CONEXIOBlackBearを使って色々な実証実験を行っています。
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