DXとIoT・ICTの違いとは? DX推進に役立つIoTの活用事例も合わせて解説
近年、さまざまな分野でDXという言葉を耳にするようになりました。DXは、経済産業省が2018年に発表した『DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~』のなかで、“2025年の崖”について言及したことがきっかけで広まっていったと考えられています。この“2025年の崖”とは、企業の既存システムが複雑化・ブラックボックス化・老朽化することで、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるという問題です。
“2025年の崖”を解決するには、既存システムを刷新しながらDXを実現していくことが求められます。そして、DXの実現には、IoTやICTなどの技術も必要となります。
しかし、「IoTやICTとどのような違いがあるのか、明確に理解できていない」という方も多いのではないでしょうか。企業がDXを進めていくためには、IoT・ICTとの違いやそれぞれの関係性について理解しておくことが重要です。
本記事では、DXとIoT・ICTの違いのほか、DX化の実現に向けたIoTの活用事例について解説します。DX実現の指針として、経済産業省が策定した『DX推進ガイドライン』については、関連記事をご確認ください。
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出典:経済産業省『DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~』
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DXとIoTの違い
DXとIoTは、デジタル技術やデータ活用における目的が異なります。それぞれの意味は以下のとおりです。
▼DXとIoTの意味
-
DX:Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)
意味:デジタル技術の活用による改革
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IoT:Internet of Things(インターネット・オブ・シングス)
意味:モノがインターネットにつながること、またはその技術
DXは、デジタル技術やデータ活用を通して、人々の生活、ビジネスモデルをよりよいものに変革することを指します。ITツールやシステムの活用は、DX実現の過程の一つです。
一方、IoTはさまざまなモノがインターネットにつながることを指します。モノのなかには、パソコンやスマートフォンといったデジタルデバイスだけではなく、建物や家電、製造機器なども含まれます。IoTを活用することで、遠隔監視や遠隔制御、データの蓄積などができるようになります。
DXの活用例として、RPAやAIといったデジタルツールを組み合わせて業務フローを自動化したり、業務処理の効率化・精度向上によって生産性を高めたりすることが挙げられます。
また、宅配伝票をデジタル化して、AIによる配送ルートの最適化を行い、業務効率化やサービス品質・ユーザーの利便性向上を図ることも例の一つです。
一方のIoTは、住宅・オフィスのカギをスマートフォンから施錠・解錠したり、遠隔地にあるパソコンから家電の消費電力量を確認したりできます。
デジタル技術を駆使して生活やビジネスモデルの変革を目指すDXに対して、IoTはモノをインターネットにつなげることが目的です。そのため、IoTは、DXを実現するための方法の一つといえます。
出典:総務省『令和3年 情報通信白書のポイント』『1-1:IoTとデータ利活用の全体像』/経済産業省『デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄2021)』
▼コネクシオのIoT導入事例集はこちら
DXとICTの違い
DXとICTは、最終的な目的が異なります。それぞれの意味は、以下のとおりです。
▼DXとICTの意味
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DX:Digital Transformation(デジタル トランスフォーメーション)
意味:デジタル技術の活用による改革
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ICT:Information and Communication Technology(インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー)
意味:情報伝達技術
前述したとおり、DXはデジタル技術を用いて生活やビジネスモデルを変革することを指します。
一方、ICTは、人とインターネットをつないで情報のやり取りを行う技術を指します。現在では、インターネットの普及によってさまざまなICTツール・サービスが登場しています。
▼ICTツール・サービスの例
- クラウドサービス
- Web会議システム
- FAX転送システム
DXとICTは、同じような活用シーンであっても最終的な目的が異なります。
たとえば、製造業におけるDXの例として、製造設備の稼働データをシステムに集約してパソコンから遠隔監視を行い、監視業務を省人化することにより、これまで従事していた人材を新たな事業に配置することが挙げられます。
ICTの例としては、倉庫内にWebカメラを設置して、遠隔地にあるオフィスから監視することが挙げられます。また、オンライン会議ツールを導入して、パソコンやタブレットで会議を行うことも例の一つです。
なお、DXを進めるにあたっては、ITシステムやツールを導入して、データを利活用できる仕組みが必要です。そのためには、パソコンやタブレットなどがインターネットにつながる通信インフラの構築が欠かせません。
ICTは、通信インフラを構築するために必要な技術で、DX実現の基盤として支える関係性といえます。
出典:総務省『用語解説』『令和3年 情報通信白書のポイント』
DX推進に向けたIoTの活用事例
DXに取り組むうえでは、IoTもICTも、ともに欠かせない技術です。
ICTは、20世紀後半のインターネットや携帯電話の普及によって世界的に浸透しており、日々の生活やビジネスにおいて広く活用されています。
さらに近年では、ICTを汎用技術として、IoTやAIといった新たな技術を活用したサービスが進展しつつあります。DXを実現させるためには、IoTの活用が重要なカギであるといえます。
ここからは、コネクシオのIoTソリューションを活用した事例を紹介します。
事例①製造機械の故障予兆監視
研磨関連の製品や材料などの生産・販売を手掛けている、Mipox株式会社さまの導入事例です。
▼導入前の課題
製品不良が発生した際、メンテナンスを行うために生産ラインを停止させる必要があり、ダウンタイムが発生するといった課題がありました。不良品の原因を特定できないため、適切な対策を講じることが困難だったのも課題の一つです。
▼導入の経緯
製品不良の発生前にメンテナンスを行い、ダウンタイムや修理コストを削減したいとの思いから導入を決められたとのことです。
▼課題解決に向けた取組み
工場にある製造機械やモーターにIoTセンサーを設置して、稼働データをクラウドシステムで蓄積できる仕組みを構築しました。
▼導入後の効果
各製造機械の振動や平行度などのデータを取得して、遠隔地から確認できるようになったことで、故障の予兆監視を実現しました。今後は、不良品コストの削減や製造ライン停止によるコスト損失を実現していきたいとのことです。
▼Mipox株式会社さまの詳しい導入事例はこちらからご覧ください。
事例②プラントにおける包括的な予兆保全
一般廃棄物の収集運搬・処理などを中核事業としている、株式会社京葉興業さまの事例です。
▼導入前の課題
24時間365日稼働している廃水処理プラントでは、突発的な故障やメンテナンスによる停止を防ぐために、予兆保全が必要とされます。しかし、従来では人が巡回点検を行っていたため、点検精度にバラつきがある、突発的な故障や緊急対応に負荷がかかるといった課題がありました。
▼導入の経緯
水中で稼動する装置が多い廃水処理プラントは、故障後、絶縁抵抗値を測定すると失われていることがほとんどでした。しかし、コネクシオのIoTソリューションは、動力盤内で絶縁抵抗値を測定するセンサーが組み込まれているため、京葉興業さまの環境での予兆保全に有効ではないかと期待され、導入を決められたとのことです。
▼課題解決に向けた取組み
ポンプ内に各種IoTセンサーを導入して、振動・消費電力・電流・絶縁抵抗値のデータを収集してモニタリングできる仕組みを構築しました。
▼導入後の効果
人手では計測が難しい連続的なデータを見える化・蓄積することで、稼働率や状態変化の解析が可能になり、わずかな数値の変動で異常を検知できるようになりました。ポンプ設備の包括的な状態把握が可能になったほか、人が確認できない水中内のポンプに関しても予兆保全が可能になりました。今後は、AIによる解析を取り入れて、予兆検知の精度向上を目指すとのことです。
▼株式会社京葉興業さまの詳しい導入事例はこちらからご覧ください。
まとめ
この記事では、DX実現に関係の深いIoTやICTについて、以下の項目で解説しました。
- DXとIoTの違い
- DXとICTの違い
- DX推進の一手となるIoTの活用事例
IoTとICTは、DXを実現するための手段・技術の一つに位置付けられます。どちらもDXを実現するうえで重要な要素となるため、包括的に取り組む必要があります。
なかでもIoTは、ICTよりもさらにDX実現に直接関わる重要な技術となるため、DXによるビジネスモデルの変革を目指すためには積極的な活用が欠かせません。
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