【農業、サービス業編】DXに向けた企業のIoT取り組み事例!
前回は製造業DXにおけるIoT活用事例を紹介しました。
今回は、その他の業種における事例を紹介いたします。IoTはすでに私たちの普段の生活にも浸透してきています。
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農業、畜産業分野でのIoT活用事例
農業や畜産業は植物や動物が関わるため効率化がしにくく、それゆえIT化も遅れていました。しかしIT機器が進化して植物や動物の動きを正確にとらえられるようになり、さらにIoTが登場したことでようやくコンピュータの恩恵が受けられるようになりました。
例えば農地に土壌センサと気象センサを設置してIoTでインターネットにつなげば、農家は水まきや肥料投入のタイミングと量を最適化できます。水や肥料を与えすぎたり、逆に与えなさすぎることがなくなり、作業の回数も減ります。最小のコストと最小の作業負担で収穫の最大化を期待できるようになるわけです。
また、牛や豚などの家畜に生体状況を検知するセンサを取りつけることで、食欲、活動量、健康状態をモニタリングでき、家畜の状況をリアルタイムで把握できるようになります。アラートが鳴ったらすぐに現場に駆けつけて家畜に治療を施すなど、異常時に迅速な対応ができるわけです。
家畜は畜舎の環境に敏感に反応するため、畜産農家は畜舎の温度や湿度の管理を徹底してます。畜舎に温度・湿度センサを設置して、このセンサと空調機をIoTでインターネットにつなげば、畜産農家さんは事務所で畜舎の環境を把握でき、なおかつ事務所にいながら畜舎の空調機を操作することで最適な環境を維持することができます。
IoTは農畜産業の生産性を上げるだけでなく、働く人の負担を大幅に軽減するでしょう。
牛の発情・分娩予知
IoTが畜産業のソリューションになった事例を紹介します。
牛の畜産をしているファーマーズサポート株式会社様は次のような課題を抱えていました。
- 牛の分娩のために夜間の見回りや待機が必要
- 発情のタイミングを見逃すと人工授精の成功率が下がり経済的な損失が生まれる
- 牛をカメラで撮影してAIで分析するクラウド・システムを試してみたが、回線の負担が大きすぎて使えなかった
この課題に対応するためAIとIPカメラとIoTを用いた遠隔監視システムを導入しました。
これにより飼育する人は自宅にいながら発情や分娩の予兆をつかむことができるようになりました。夜の見回りや待機から解放されたことで分娩作業を効率化できたうえに、分娩の事故も減りました。これは遠隔監視システムが分娩の予兆を正確にとらえていることを意味します。
さらに発情のタイミングの見逃しが減ったことで収益アップにも貢献できました。
▼「牛の発情・分娩の予兆を検知。待機時間や畜産農家の負担を軽減し、収益改善も」
身近なところでのIoT活用事例
ここまで産業向けのIoTをみてきましたが、IoTはすでに人々の普段の生活にも浸透しています。IoTによってオフィスはより仕事がしやすい環境に変わり、生活はより快適により便利になります。
店舗やオフィスでも
「着座データ」と呼ばれる、人が椅子に座っているかいないかの情報は、実はとても有効活用できるデータです。
例えば、飲食店の椅子の着座データを収集、分析すれば店の回転率がわかります。ショッピングモールのフードコートの椅子の着座データを分析すれば、来店者の行動も把握できるようになります。
また、企業のオフィスの椅子の着座データを集めれば、オフィスや会議室などの利用状況がわかり、よく使われているスペースや逆に無駄なスペースが把握できます。
着座データは、圧力センサを内蔵したクッション(スマートクッション)を椅子に置くだけで収集できます。スマートクッションが「座っている・座っていない」の情報を送信し、そのデータを収集・分析することで店の回転率やオフィスの利用状況を知ることができます。
▼「店舗・オフィスの着座状況を見える化。動向分析に活かせるデータ収集」
介護・見守りにも
人の動きをセンサーやIoTを使って24時間365日監視することは技術的には不可能ではありませんが、倫理、人権、プライバシー保護の観点から実際に導入することは簡単ではありません。
しかし介護の現場では、介護職員不足により見守りに人を割くことができないと、高齢者が転倒するなどして健康や命にかかわる事態になりかねません。そのため介護施設などでは、プライバシーに配慮したセンサやIoTが導入されています。
三菱電機インフォメーションシステムズ 株式会社様は、介護施設の職員のスマホで、体調が気になる入居者の様子の確認や、転倒を検知した場合の通知を受け取ることが可能となるシステムを開発しました。このシステムは、プライバシー保護のために、入居者の顔や衣類着用の有無がわからない赤外線センサーを使っています。
このように介護施設へのIoT導入は職員の人手不足のカバーや入居者のプライベートの確保など様々な面で役に立っています。
▼「介護ロボット『kizkia-Knight』(きづきあーないと)。トイレ見守りサービスのゲートウェイ・プログラム受託開発」
まとめ
2010年代以降、着実に普及してきたIoTは今、当たり前になりつつあります。さまざまな業界のさまざまな企業が「DX」を掲げ、その有力手段としてIoTを活用し、コストダウン、従業員の負担軽減、収益改善、そしてビジネス変革を進めています。
またIoTはオフィスや日常生活も変えています。「なぜか便利になった」「いつの間にか簡単にできるようになっていた」と感じたら、その裏にIoTがあるかもしれません。
IoTには、産業もビジネスも、そして生活も改善する力があります。
コネクシオはIoTゲートウェイを中心とした幅広い技術力、開発力によってさまざまな企業のDXを支援しています。
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