IoT化の推進! 5GとIoTを組み合わせた6つの活用事例
2020年3月から、各キャリアが段階的に5Gの商用サービスを開始しました。5Gは、現在普及している4Gと比較して通信速度が進化した移動通信システムで、高速大容量通信・超低遅延通信・多数同時接続という3つの特徴を持っています。
5Gの活用により、さまざまなモノがインターネットにつながる“IoT”の活用がこれまで以上に拡大していくと期待されています。一方で、「どのような業種や業務で活用できるのだろう」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、IoT化の推進を図る企業に向けて、5GとIoTを組み合わせた活用事例を6つ紹介します。
出典:総務省『令和2年版 情報通信白書|我が国における5Gサービスの開始』
目次[非表示]
▼5Gの基礎知識やメリットについてはこちら
5GとIoTを活用した6つの事例
5Gは、通信技術の向上によって、インターネットに接続できるデバイスの数や通信速度が増します。
これまで遠隔地からのリアルタイム通信やビッグデータの収集・分析が難しく、IoTの活用が限定的だった場合においても、活用範囲がさらに広がると考えられます。
ここでは、5GとIoTを組み合わせた6つの活用事例を紹介します。
①インフラの保守・管理
IoTと5Gのネットワークを利用することで、環境・エネルギーを扱う業種においてインフラの保守・管理を実現できます。
たとえば、道路やトンネル、河川などをIoT機器で監視して、5Gのネットワークでリアルタイムな通信を行えば、遠隔地からの保守・管理ができるようになります。
また、複数のセンサー・監視システムによって、自然災害や事故などの危険・異常を検知して、速やかな対応を行うことも可能です。これにより、地域の防災対策や安全性の確保に役立てられます。
▼インフラ保守・管理における活用事例
- センサーによってモニタリングしたデータを5G対応のゲートウェイでクラウドに上げて、排水処理プラントの稼働状況の見える化を行う
- IoTセンサーやドローンから街中の映像・画像データを収集して、自然災害の被災者に避難経路情報を迅速に届ける
出典:総務省『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』
②製造業の品質・生産性向上
5Gに対応した工場では、製造設備や生産ラインにIoTを取り入れることで、人手不足の解消のほか、品質、生産性の向上が可能になります。
高速大容量通信・超低遅延通信の5Gのネットワークでは、大規模な工場や遠隔地にある倉庫などから収集したデータを瞬時に共有できます。
設備機器のリアルタイムな監視・制御、予知保全が可能になることで、安定した稼働を実現できるようになります。
また、AIやロボットを活用して、製造機械を自動操作することで、業務の省人化、作業品質の安定化にもつながります。
▼製造業における活用事例
- 生産ラインに三次元計測センサーを設置し、5G基地局を介して制御装置から製造ロボットの制御を行う
- 販売する機械に5G対応のIoT端末を搭載して、稼働および操作のデータ収集を行い、新たなサービスやビジネスモデルの確立に生かす
出典:総務省『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』
▼関連記事「スマートファクトリーの実情と5G導入で期待できるメリット
③スマートシティの構築
IoTと5Gの活用は、スマートシティ(※)の構築にも貢献します。
超低遅延通信・多数同時接続が可能な5Gのネットワーク環境においては、人々の利便性向上につながる新たな商品・サービスを提供することが可能になります。
たとえば、道路や発電所など、都市全体に取り付けたIoT機器からさまざまなデータを収集します。収集したビッグデータを蓄積・分析することで、地域の防犯対策や気象管理、エネルギーの需給管理など、安全性・利便性の高いサービスの提供を実現できます。
▼スマートシティの実現に向けた活用事例
- 地方での移動手段として、IoTによる自動運転タクシーを導入する
- IoTのセンシング技術を用いて電力供給設備・消費関連装置のデータを収集して、供給設備を自動制御したり、ビッグデータを分析して需給予測を行ったりする
※スマートシティとは、IoTやAIなどの新技術をまちづくりに取り入れて、都市・地域の抱える課題解決や新たな価値創出ができる持続可能な都市のこと。
出典:総務省『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』『5Gの利活用分野の考え方 』
④医療・介護サービスの充実
5Gのネットワーク環境は、医療機関や介護施設にIoTを取り入れて、患者・高齢者へ質の高いサービス提供する際に活用できます。
たとえば、5Gの通信速度を生かして、隔地から行う医療・介護サービスを充実させることが可能です。
また、患者・高齢者の健康データを収集して、医療機関・介護施設へと情報提供をしたり、新たな医薬品・サービスの開発に役立てたりするといった活用方法もあります。
▼医療・介護における活用事例
- 患者にウェアラブルデバイスを装着して、取得データをカルテに自動反映したり、医療従事者と共有したりする
- 5G対応のシステムを用いてエコーや心電図などのデータを伝送して、遠隔で医療支援を行う
出典:総務省『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』『5Gの利活用分野の考え方 』
⑤農業・畜産業の効率化や省人化
5GとIoTを組み合わせることで、農作業の効率化や省人化、生産品質の向上なども期待されています。
5Gでは、多数同時接続が可能です。多台数のセンサーを同時接続して、IoTのセンシング技術を利用すれば気象・土壌・生育・市場などのさまざまなデータを可視化・収集できるようになります。
ビッグデータを活用した高度な生産管理や収穫予測などが可能になることで、高効率かつ高品質の農業を実現できます。
また、5G環境でIoT対応のロボットやドローンを制御できるようになれば、農業・畜産業における省人化にもつながります。
▼農業・畜産業における活用事例
- 農家全体にIoTセンサーやドローンを配置して、自宅から農作業の管理を行う
- 高精細カメラで撮影した牛舎の映像を5Gを介してリアルタイムで転送して、専門家による技術指導を受ける
出典:総務省『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』
▼IoTを用いたスマート農業についてはこちら
⑥建築・土木の安全管理
建築・土木の分野においては、5GとIoTによって建設機械と作業者がつながることで、安全で高品質、生産性の高い建設工事を実現できます。
たとえば、5G対応のIoTセンサーを現場に取り付けて作業場を遠隔監視することで、リスクの検知や継続的な安全管理が可能です。
また、立ち入りが危険な場所では、ロボットやドローンで遠隔操作・自動制御を行うことで、作業の省人化、事故の防止にもつながります。
▼建築・土木分野における活用事例
- 目視点検が困難な急傾斜地で、ドローンを活用して高精度な測量を行う
- IoT搭載の建設機械で操縦を自動化して、施工の均一化・高精度化を図る
出典:総務省『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』『5Gの利活用分野の考え方 』
まとめ
この記事では、5GとIoTを組み合わせた6つの活用事例について解説しました。
5Gの普及によって大容量高速通信・超低遅延通信・多数同時接続のネットワーク環境を実現できれば、IoTの活用範囲がさらに広がることが期待できます。
5GとIoTが結び付くことで、遠隔地からの監視・制御、ビッグデータの利活用が進み、生活やビジネスにも多くの変革を生み出すと考えられます。
IoTの導入を検討している方は、今回ご紹介した活用事例を参考に、導入設備の選定やインフラの構築を進めてみてはいかがでしょうか。
▼5G対応モデルもご用意!IoTゲートウェイ「CONEXIOBlackBear」の詳細はこちら>>