IoTとは? 市場規模と導入事例を交えて分かりやすく解説
近年、“IoT”という言葉をよく耳にするようになりました。総務省『平成30年版情報通信白書』では、地域の主体となる地方公共団体や大学、企業などにおける先導的なIoTサービスの創出を推進すると示されています。
一方、「IoT化によってどのようなことができるようになるのかよく分かっていない」「導入後のイメージが湧きにくい」といったように、自社のIoT化を検討しているものの、IoTについてよく理解していないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、IoTの意味や市場規模について、活用事例とともに分かりやすく解説します。
出典:総務省『平成30年版情報通信白書』
目次[非表示]
- 1.IoTとは
- 1.1.IoTデバイスと収集できるデータ
- 1.2.日常におけるIoTデバイスの活用
- 2.IoTデバイスの市場規模
- 3.将来に高成長が予測される分野のIoT導入事例
- 3.1.製造機械の故障予兆監視
- 3.2.予防保全のサービス化
- 4.まとめ
IoTとは
IoTとは、Internet of Thingsの略で、“モノのインターネット”という意味です。これまでインターネットに接続していなかった身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながることを指します。
従来、インターネットと接続できるモノは、パソコンやスマートフォンなどの情報機器が一般的でしたが、IoTの普及拡大によって家電や住宅、車などともインターネットの接続が可能になりました。
モノがインターネットにつながると、ネットワーク経由でモノの情報を取得して、データの処理・蓄積・分析などを行えるようになります。
IoTデバイスと収集できるデータ
インターネットにつながるモノをIoTデバイスといい、センサーを取り付けることで次のようなデータを収集できるようになります。
▼IoTデバイスと収集できるデータの例
▽カメラや照度センサーを取り付けたIoT機器
モノや人の動作、メーターの検針パネルなどの視覚情報を計測できる
▽マイクや音量センターを取り付けたIoT機器
人の話し声、モノから発生される音などの聴覚情報を計測できる
▽そのほかのIoT機器
温湿度・気圧・紫外線などを感知・計測するセンサーを取り付けて、環境の測定、人間には感知できない電波・紫外線・気圧などを計測できる
日常におけるIoTデバイスの活用
IoTデバイスから収集したデータをクラウドサーバで蓄積・管理することで、円滑なデータ活用を行えます。そのほか、人の手を介さずに機械・設備を制御したり、データ分析によって将来予測をしたりすることも可能です。
IoTを日常生活に取り入れた例として、以下が挙げられます。
▼IoTを活用した身近な例
- IoT電気ポットの使用状況をスマートフォンから確認する
- 扉の内側にIoTスマートロックを取り付け、スマートフォンで施錠・解錠する
- 住宅・オフィスの電力系統をIoT化して、電気使用量や売電量を制御する
このようなIoTデバイスは、日常生活での活用にとどまらず、いまや製造業や農業、自動車産業など幅広い分野にまで広がっています。
IoTで実現できることやメリット・デメリットについては、こちらの記事もご覧ください。
IoTデバイスの市場規模
近年、IoTデバイスの市場は急速な成長を遂げています。総務省『令和3年版情報通信白書』によると、2016年時点で173.2億台であった世界のIoTデバイス数は、2020年に253億台となり、約80億台増加しています。
2016〜2023年のIoTデバイス数の推移・予測は以下のとおりです。
画像引用元:総務省『令和3年版 情報通信白書』
今後もIoTデバイス数は増加し続け、2023年には340.9億台まで増えると予測されています。
また、IoTデバイス数を分野別にみると、2020年時点でもっとも多く占めているのは、スマートフォンや通信機器などの通信分野です。
ただし、通信分野の市場はすでに飽和状態であるため、ほかの分野と比べると相対的に低成長が予測されています。今後さらに高成長が見込まれている分野は、以下の4つが挙げられています。
▼IoTデバイスの高成長が見込まれる分野と背景
分野 |
背景 |
医療分野 |
デジタルヘルス以上の拡大 |
コンシューマー分野 |
スマート家電をはじめとする電子機器の増加 |
産業用途分野 |
スマート工場やスマートシティの拡大 |
自動車・宇宙航空分野 |
コネクテッドカー(※)の普及 |
さらに、2020〜2023年における分野・産業別の成長予測率は、以下のとおりです。
▼分野・産業別の成長予測率
分野・産業 |
成長率 |
コンピューター |
-1.1% |
通信 |
1.7% |
自動車・宇宙航空 |
11.8% |
産業用途 |
16.9% |
コンシューマー |
17.2% |
医療 |
18.4% |
※コネクテッドカーとは、ICT端末としての機能を有する自動車のこと。事故の際に自動的に緊急通報を行ったり、盗難時に車両の位置を追跡したりといった機能が備わっている。
出典:総務省『令和3年版 情報通信白書』『平成27年版 情報通信白書』
将来に高成長が予測される分野のIoT導入事例
IoTデバイス市場のうち、今後高成長が予測される分野の一つに“産業用途”が含まれています。
産業用途のIoT化が進むことで、生産の安定化・人手不足の解消・製造物の品質向上・予知保全の実現など、さまざまなメリットが期待されています。
ここでは、産業用途におけるコネクシオのIoT導入事例を紹介します。
製造機械の故障予兆監視
生産財の製造機械にIoTセンサーを導入して、遠隔監視・予知保全を実現した事例です。
▼導入企業
Mipox株式会社さまは、研磨関連製品・機器の製造を行っている企業です。
▼導入前の課題
不良品が発生したとき、メンテナンスのために生産ラインを停止しなければならず、ダウンタイムが発生するといった課題がありました。また、製品不良が発生する原因を特定できないため、適切な対策が難しいといったことも課題の一つです。
▼課題解決に向けた取組み
生産財の製造機械に複数のIoTセンサーを設置して、稼働情報を取得できる仕組みを構築しました。
▼導入後の効果
製造機械の稼働状況を遠隔で監視することで、故障の予知検知を実現しました。
今後は、クラウド上に蓄積した製造機械データを見える化・分析して、さらなるコスト削減につなげたいとのことです。
Mipox株式会社さまの詳しい導入事例については、ぜひこちらをご覧ください。
製造機械の故障予兆監視で実現する生産性向上
予防保全のサービス化
自社商品の生産設備にIoTセンサーを導入して、予防保全のシステムを構築した事例です。納入先の顧客に新たな点検サービスを提案できるようになったことで、自社商品の付加価値の創出につながっています。
▼導入企業
食品加工設備の開発・製造・販売をしている企業さまです。
▼導入前の課題
納入先の生産設備の故障・不具合の復旧に時間を要するといった課題がありました。また、納入後の生産設備の使用状況・用途を把握できないことも、修理やメンテナンスの判断を困難にしていた原因の一つです。
最終的に、「納品後の設備の状況をリアルタイムに把握できないか」という課題のもと、「東京と大阪にある拠点に分散していたすべての設備情報を集約し、一元管理したい」というご要望を実現するために導入されました。
▼課題解決に向けた取組み
生産設備にIoTセンサーを取り付けて、センサーから取得したデータをアプリ経由で監視できる仕組みを構築しました。
▼導入後の効果
生産設備の運転時間・振動・異音・温度などの情報をリアルタイムで検知することで、事前にメンテナンスを提案できるようになりました。
さらに、収集した情報を分析・解析して、納入先への生産設備の最適化を提案するといった高付加価値サービスを生み出すことにも成功しました。
詳しい導入事例については、ぜひこちらをご覧ください。
予防保全のサービス化で生産性向上「自社商材と自社価値の向上」を実現
まとめ
この記事では、IoTについて以下の項目で解説しました。
- IoTとは
- IoTデバイスの市場規模
- 産業分野のIoT導入事例
IoTを導入することで、パソコンやスマートフォンだけではなく、住宅・家電・車などさまざまなモノがインターネットに接続できるようになります。
これまで人の手で動かしたり、測ったりしていたものが、人の手を介さずに制御・計測できるようになります。蓄積された膨大なデータを分析・解析すれば、故障を検知したり、予測したりすることも可能です。
IoTの導入で、企業の生産性向上や新たなサービスの創出、人手不足解消など、さまざまなメリットが得られます。
また、IoTデバイスの市場は今後も成長していくと見込まれています。なかでも産業用途では高成長が期待されており、医療、コンシューマー、産業用途分野のIoT活用はさらに普及していくと考えられます。
コネクシオの『IoTソリューション』では、IoTセンサーの導入から通信環境の構築、データ管理のためのアプリケーション導入までパッケージ化して提供しています。
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