新たな通信規格“5G”で何が変わる? 特徴や4Gとの違いを解説
4Gの次世代通信規格として登場した5G。
5Gが広く普及すれば、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるようになり、IoTやDX推進の基盤になると期待されています。
一方で、製造業や医療業、建設業などさまざまな事業において現在主に展開されているのは、4Gを活用したIoTデバイスやソリューションです。
5Gの登場を受けて、「4Gから5G対応のIoTデバイスやソリューションに変更しようか」「5Gを新たに導入しようか」と検討している企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、5Gが企業にどのような影響をもたらすのか、4Gと5Gの特徴や違いについて解説します。
4Gと5Gの特徴
日本では、1979年に車内での通話を可能にするサービスの開始に併せて、“1G”と呼ばれる第1世代移動通信システムが登場しました。1Gの登場から約10年単位で、2G、3G、4Gと新たな通信規格が登場しており、現時点では5Gが最新です。
ここでは、4Gと5Gの特徴について解説します。
出典:総務省『令和2年情報通信白書のポイント』『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』
4Gの特徴
4Gは、スマートフォンでのインターネット通信を主な対象領域とした通信規格のことです。第4世代移動通信システムといいます。
2010年から各携帯電話キャリアで段階的に商用サービスが開始され、現在国内で広く普及している主流の通信規格です。
▼4Gの特徴
- 前世代の3Gと比べて通信速度が高速化されている
- ホームページの閲覧や動画閲覧、動画のライブ配信などが可能
出典:総務省『令和2年情報通信白書のポイント』『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』
5Gの特徴
5Gは、4Gの次世代として登場した第5世代移動通信システムです。5Gの活用により、スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスのみならず、産業機器や自動車、ホームセキュリティなど、さまざまな分野でビジネス展開が進んでいくと考えられます。
大手キャリア各社は、2020年3月から5Gの商用サービスを開始しました。現在、普及しているエリアは一部に限られていますが、今後はさらなるエリア拡大に向けた取組みが進んでいくと予測されます。
▼5Gの特徴
- 超高速大容量通信・超低遅延通信・多数同時接続を実現
- 複数の端末・センサーとのネットワーク接続や、ロボットの遠隔操作などが可能
- ホームセキュリティや産業機器、自動車、IoT分野などが新たな対象領域として加わる
出典:総務省『令和2年情報通信白書のポイント』『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』
なお、5Gの基礎知識については、こちらの記事で詳しく解説しています。
4Gと5Gの違い
4Gと5Gでは、通信速度や遅延時間、同時接続台数に違いがあります。ここでは、3つの違いについて解説します。
▼4Gと5Gの比較
4G |
5G |
|
通信速度 |
|
※4Gの約20倍 |
遅延時間 |
10ms(0.01秒)程度 |
1ms(0.001秒)程度 ※4Gの10分の1程度 |
同時接続台数 |
10万台/km2 |
100万台/km2 ※4Gの約10倍 |
出典:総務省『令和2年情報通信白書のポイント』『5G 等の医療分野におけるユースケース(案)【改訂版】』『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』
通信速度
5Gになることで、通信速度が下り・上りともに4Gの約20倍速くなるといわれています。
4Gでは実現が難しかったリアルタイムな映像の再生も、5Gならスムーズに実現可能です。4Kや8Kといった高精細映像や、大容量コンテンツを高速で送受信することも期待されています。
実際に、2時間の映画をダウンロードする際、4Gでは5分かかるのに対して、5Gでは3秒と大幅に時間が短縮されることが分かっています。
▼5Gの活用例
- 工場内に高精細カメラやセンサーを設置して、設備の稼働状況や作業者の様子をリアルタイムで確認できる
- 過疎地域の医師が患者の状況を高精細カメラで撮影して送信、遠隔地にいる専門医にリアルタイムで助言・指導をもらえる
出典:総務省『令和2年情報通信白書のポイント』『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』『5G が促す産業のワイヤレス化』
遅延時間
5Gの遅延時間は、4Gの約10分の1程度に短縮されるといわれています。
離れた場所にいても通信のタイムラグを最小限にすることで、4Gでは困難といわれていた自動運転システムや緻密な遠隔操作などを実現できます。
▼5Gの活用例
- 2K映像に対応した10台のカメラで同時配信を行い、通信の低遅延によって建機をスムーズに操作・制御できる
- 自動走行する農機を遅延なく遠隔監視して、危険の判断やトラブル発生時の迅速な対応などが行える
出典:総務省『令和2年情報通信白書のポイント』『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』『5G が促す産業のワイヤレス化』
同時接続台数
5Gでは、4Gと比べてより大量の端末・機器と同時接続が可能です。1km2で100万台と、4Gの約10倍のデバイスを同時に接続することができるようになります。
カメラやセンサー、ロボットなどあらゆるモノがインターネットに接続できるため、さまざまな産業・分野でのIoT活用がさらに広がると期待されています。
また、総務省『平成30年版 情報通信白書』によると、情報通信研究機構が2018年3月に5Gの実証試験を行い、約2万台の端末が同時接続することを確認したことが示されています。
▼5Gの活用例
- 製造現場に多数の監視設備を設置して同時に映像を確認することで、メンテナンス性の向上につながる
- 工場内で多数の無人搬送車を同時に稼働させることで、業務効率化や作業者の負担軽減が期待できる
出典:総務省『令和2年情報通信白書のポイント』『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』『令和2年版 情報通信白書』『第五世代移動通信システムのもたらす経済及び社会の変革に関する調査研究の請負』
まとめ
この記事では、4Gと5Gについて以下の内容を解説しました。
- 4Gと5Gの特徴
- 4Gと5Gの違い
5Gは、4Gと比べて高速大容量通信と超遅延のリアルタイム通信、膨大な端末・機器との同時接続が可能になることが特徴です。
5Gの性能を生かしてIoTと組み合わせることで、業務の効率化や従業員の負担軽減、新たな事業展開など、ビジネスにおいても大きな影響をもたらすと考えられます。
また、「日本国内で構築したIoTシステムを海外でも使用したい」という場合は、IoTゲートウェイの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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5Gの特徴や導入メリット、IoTと組み合わせた活用例については、こちらの記事もご確認ください。