スマートファクトリーの実情と5G導入で期待できるメリット
近年、工場の設備や機械をインターネットで接続するスマートファクトリー/スマート工場が注目されています。そうしたなか、スマートファクトリー化を後押しする次世代の通信技術として、高速大容量通信や多数同時接続に対応した5G回線が登場しました。
他社との差別化や自社の成長を見据えて、5G導入の検討を進める企業の製造業担当者さまも多いのではないでしょうか。この記事では、5Gの基礎知識や特徴、スマートファクトリー市場の現状、5Gを活用することによる具体的なメリットなどを解説します。
目次[非表示]
- 1.5Gとスマートファクトリーについて
- 1.1.5Gとは
- 1.2.5Gを活用したスマートファクトリーの特徴
- 2.スマートファクトリーの実情
- 3.5G導入によるメリット
- 4.5Gの産業分野における導入開始時期
- 5.まとめ
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5Gとスマートファクトリーについて
スマートファクトリーの実現を後押しする次世代の通信技術である5Gとはどのような技術なのでしょうか。ここでは、5Gの基礎知識とスマートファクトリーとの関係について解説します。
5Gとは
5Gとは5th Generationの略で第5世代移動通信システムのことです。
日本では2020年からサービスが開始され、すでに個人のスマートフォンのみならず、工場や企業、自治体でも活用が進められています。
5Gと4Gの違いには以下が挙げられます。
4G |
5G |
|
伝送速度 |
最大1Gbps |
最大10Gbps |
遅延速度 |
10ミリ秒 |
1ミリ秒 |
同時接続数 |
10万台/平方キロメートル |
100万台/平方キロメートル |
5Gでは、伝送速度が4Gの10倍、遅延速度は10分の1、同時接続数は10倍となります。高速・大容量のリアルタイム通信を実現できるため、さまざまな分野でよい効果を与えることが期待されています。
出典:総務省『情報通信審議会 情報通信技術分科会新世代モバイル通信システム委員会報告(案)』
5Gを活用したスマートファクトリーの特徴
近年、工場の設備や機器にAIやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を活用した工場のスマート化が推進されています。このような技術を活用した工場をスマートファクトリー、スマート工場などと呼びます。
工場内に5Gの通信技術を導入することで、高速かつリアルタイムな情報共有や複数の設備との同時接続が可能です。機械の稼働状況や製造実績といったデータを速やかに共有できるだけでなく、生産計画等の経営における意思決定が早くなるといった特徴があります。
▼スマートファクトリー・スマート工場について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
スマートファクトリーの実情
工場内のあらゆる設備・機器をインターネットにつなげるスマートファクトリー。多くの製造現場で必要性は感じてはいるものの、実行に移している企業は少ないというのが現状です。
経済産業省が発行する『2020年版ものづくり白書』によると、「デジタル技術を活用していない」「活用を検討している」と回答した企業は46.4%。デジタル技術を活用できていない企業が多いことが分かります。
また、企業の規模別で見ると、大企業のデジタル技術の活用率が60.8%であるのに対して、中小企業ではその数が48.5%にとどまっています。つまり、資金面で劣る中小企業では、デジタル技術を活用したスマートファクトリー化が進んでいないと考えられます。
しかし、現時点で導入が広く浸透していないからこそ、他社との差別化を図れる余地があるともいえます。
出典:経済産業省『2020年版ものづくり白書』
5G導入によるメリット
5Gの導入によって、大容量データの送受信や低遅延、多数接続ができることで製造現場にメリットをもたらします。
▼製造現場に5Gを導入するメリット
- 生産ラインの柔軟な変更が可能
- ビッグデータの活用による管理能力の向上
- 遠隔地でのリアルタイムな情報共有
工場内の設備機器を無線化できるため、フレキシブルに生産ラインを変更できるようになります。
また、設備・機器に設置されたセンサやカメラから収集したビッグデータを活用することも可能です。在庫量を一元管理したり、不具合や故障のデータを分析して予知保全を行ったりして、安定した稼働につなげます。
さらに、リアルタイムな情報共有により、作業内容を動画で送信して指導に活用する、点検・監視の巡回を遠隔地から行うといった対応も可能です。
5Gの産業分野における導入開始時期
5Gの導入には莫大なコストがかかるため、産業分野における取り組みの多くは実証実験にとどまっているケースがほとんどです。産業分野において5Gの導入が広がるのは2022年頃、本格化するのは2024年頃になると推測されています。
しかし、2022年にはドローンの有人地帯における目視外飛行の解禁やAR/VRベンダーのデバイス投入など、5G周辺の分野でも規制緩和が進められています。これにより、低コストで簡易なスマートファクトリーの活用も今後期待されています。
出典:総務省『第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望』/国土交通省『小型無人機の有人地帯での目視外飛行実現に向けた制度設計の基本方針』
まとめ
高速大容量通信や多数同時接続に対応した5Gの導入より、スマートファクトリー化が加速することが期待されています。
しかしながら、コスト面の負担により、実際の5G導入は2022年、商用の本格導入となるのは2024年頃だと想定されます。5Gの商用導入を見据えて自社のスマートファクトリー化を実現することで、他社との差別化が図れます。
工場における5Gの活用、スマートファクトリー化についてさらに詳しく知りたい方は、コネクシオまでお気軽にご相談ください。自社工場の業界や予算に合ったソリューションをご提案します。