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ものづくり企業がIoT導入で変わる!実践事例と導入のコツ

この記事では、IoT(Internet of Things) が中小企業を含めたものづくり企業にどのようなメリットをもたらすのか、具体的な事例を交えつつ説明し、さらにものづくり企業のIoT導入における課題と成功のポイントについて解説します。

目次[非表示]

  1. IoT導入がものづくり企業にもたらすメリット
  2. 日本のものづくり企業のIoT導入事例
  3. IoT導入の最初のハードル
  4. IoT導入における課題
  5. ものづくり企業がIoT導入を成功させるには?
  6. おわりに


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IoT導入がものづくり企業にもたらすメリット

IoTとは、インターネットに接続されたさまざまなデバイスやセンサーがデータをやりとりすることで、日常生活のあらゆる物品をインターネットにつなぎ、データのやり取りを行うことで、リアルタイムに情報を共有したり、様々な機能を追加したりする技術です。
先行企業の導入事例も増える中、企業が自社の設備をIoT化することで、以下のようなメリットが期待できます。

生産性の向上
設備の稼働状況や品質管理などの情報をリアルタイムに把握し、最適な生産計画や工程管理を行うことができます。また、設備の故障や異常を早期に検知し、予防保全や迅速な対応を行うことができます。 

コスト削減
設備の稼働率やエネルギー消費量などのデータを分析し、無駄な動作や消費を削減することができます。また、設備の寿命や部品交換時期などを予測し、過剰なメンテナンスや在庫を減らすことができます。 

付加価値の向上
設備から得られるデータを活用し、顧客ニーズに応えるカスタマイズや品質向上などのサービスやソリューションを提供することができます。また、設備と顧客との直接的なコミュニケーションやフィードバックを行うことができます。 


以上のように、ものづくり企業が自社の設備をIoT化することは、競争力を高めるだけでなく、新たなビジネスチャンスを創出することにもつながります。


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日本のものづくり企業のIoT導入事例

では、先行企業が実際にどのように IoTを活用しているか、事例をご紹介します。

I精器株式会社 ~三色灯を読み取り、工作機械の稼働状況を可視化するIoTシステムを独自開発・商品化~

内容:生産管理の煩雑さを解消するため、自社でIoTシステムを開発。古い工作機械でも、配線などの複雑な作業なしで使える、ものづくり企業ならではの視点で簡単ツールを開発・販売。
ポイント:三色灯の光をセンサで読み取り、稼働状況を蓄積する仕組み。工作機械の電気的な信号を取得しないため、古い工作機械でも稼働状況を取得できる。配線などの複雑な作業も不要。
効果・メリット:工場に行かなくても、遠隔地から工作機械の稼働状況が分かるだけでも、現場のニーズは十分にあるとして、外販を開始。既に導入実績等を有する。

O熱処理工業株式会社 ~夜間の稼働確認の負荷削減のためにIoT化した熱処理炉を活用~

内容:熱処理炉の稼働管理の負荷低減を目指し、IoT化した熱処理炉の導入と一部既設炉へのIoT化を図る。即ち夜間等の稼働管理の負担の低減及び異常時の即時対応化。
ポイント:工場外からでも熱処理炉の稼働状況が把握できるIoTの仕組みを導入。遠隔監視で早期対応、遠隔操作により、災害等の緊急時には炉の強制停止も可能とした。
効果・メリット:夜間等に熱処理炉の稼働確認だけのために、工場まで出向く負担や手間が削減。また、いつでも稼働状況を確認できることが、管理者の安心感につながる。

株式会社M  ~農業機械の遠隔操作とデータ収集~

内容:農業機械の製造・販売を行う企業。IoTで農業機械を遠隔操作したり、作業データや機械の状態を収集したりすることで、農業の効率化や安全性の向上、新たなサービスの提供などを実現した。
ポイント:自社開発の農業機械制御システムを搭載した農業機械に、GPSやセンサー、カメラなどを取り付けることで、位置情報や作業内容、機械の状況などをクラウドに送信する仕組み。スマートフォンやタブレットから、遠隔操作やデータ閲覧が可能。
効果・メリット:遠隔操作により、人手不足や高齢化に対応し、作業効率や安全性を向上させる。データ収集により、品質管理や故障予防、保守サービスを改善する。農業機械のレンタルやデータ分析などの新規ビジネスを展開する。

IoT導入の最初のハードル

ものづくり企業においてもすでに具体的な成果を上げている企業がある一方、大多数はまだ検討にも至っていないのが現状ではないでしょうか。それには以下のような理由があります。

自社の課題がわからない
例えば壁に張られた受注一覧、作業場の隅に積み上げられた部品の山、作業した履歴を記した台帳等々、過去から蓄積した業務ルール、フローなど、直接的に問題が発生しない限り、それを変えたほうがいいということすら気づかないといったことは非常に多く存在します。

従業員の理解が得られない
上記のような従来の業務ルールに慣れ親しんだ従業員からすれば、これを変えられることは、これまでの自分たちの長年培ってきた経験と実績を否定される様に捉えられることにもつながり、現場従業員の理解を得るためには、発言力を持つ熟練の作業員にも納得できる必然性とメリットを理解してもらう必要があります。

ハードルクリアの一歩は5Sの徹底、そして決断を
こうしたハードルをクリアにするには、まず、基本となる5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底と作業の見直しを行い、現場と共通した課題形成を行うことが第一歩となります。また、こうして見えた課題を解決する手段としてIoTの導入を検討・推進するという、社長の強力な意志とリーダーシップが不可欠であるとも言えます。

IoT導入における課題

そして、IoT導入を具体的に検討する段階となった際には、様々な課題があります。ここでは、3つの課題を紹介します。

コストの課題
IoTは、センサーやネットワーク、クラウド、アプリケーションなど、多くの要素から構成されます。これらの要素を導入するには、高い初期投資や維持費がかかります。企業にとっては、コスト面での負担が大きいと言えます。また、IoTの効果を測定するには、長期的な視点が必要ですが、特に中小企業は短期的な収益性に注目しがちです。したがって、IoTの導入に対するコスト対効果の判断が難しいという課題もあります。

人材の課題
IoTを導入するには、センサーやネットワーク、クラウド、アプリケーションなど、多くの技術領域に関する知識やスキルが必要です。しかし、ICTを直接の事業領域としていないものづくり企業では、これらの技術領域に精通した人材を確保することが難しいことが多いと思われます。また、IoTは常に進化しており、最新の技術動向や市場ニーズに対応するためには、人材の教育や育成が必要です。しかし、こうした企業では、人材育成にかける時間や予算が限られています。したがって、人材の確保や育成が難しいという課題もあります。

セキュリティの課題
IoTは、多くのデバイスやネットワークを通じて大量のデータを収集・分析・活用します。しかし、これらのデバイスやネットワークは、サイバー攻撃やデータ漏洩などのセキュリティリスクにさらされています。ものづくり企業では、セキュリティ対策に十分な知識や経験を持った人材や専門家が不足しています。また、セキュリティ対策にかかるコストも高くなります。したがって、セキュリティ対策を適切に行うことが困難であるという課題もあります。


以上のように、ものづくり企業がIoTを導入する際には、コスト・人材・セキュリティという3つの大きな課題があります。これらの課題を克服するためには、企業自身だけでなく、政府や産業界などの関係者と協力して支援策を検討することが必要です。

ものづくり企業がIoT導入を成功させるには?

そして、これらのハードルや課題をクリアして、IoT導入を成功させるためには何が必要になるでしょうか?そのポイントを解説します。

自社の課題を明確にする
IoT導入の目的や効果を明確にし、自社の業務や顧客のニーズに合わせたIoTソリューションを選択することが重要です。また、現場の声やフィードバックを聞き、改善点を見つけることも大切です。

小さく始める
IoT導入は、一気に大規模に行うのではなく、小さく始めて、段階的に拡大していくことが効果的です。小さく始めることで、IoT導入のコストやリスクを抑えることができます。また、小規模な実証実験(PoC)を行うことで、IoT導入の効果や課題を検証し、改善することができます。

継続的に改善する
IoT導入は、一度行えば終わりではありません。IoTは、常に新しいデータや情報を生み出し、変化し続けます。そのため、IoT導入後も、データの分析や活用、システムの更新や保守、セキュリティの強化など、継続的に改善することが必要です。また、IoT導入の効果や成果を定期的に評価し、見直すことも大切です。

パートナー企業と連携する
IoT導入には、センサーやデバイス、ネットワーク、クラウド、AIなど、様々な技術やサービスが関わります。ものづくり企業が一から全てを自社で開発するのは困難です。そこで、IoTに関する知見や実績を持つパートナーを選ぶことが重要です。パートナーとは、IoTソリューションの提供者や、IoT導入の支援やコンサルティングを行う企業などです。

また、最近では、初期導入段階の企業向けに導入しやすいIoTソリューションパッケージやプラットホームサービスを提供している企業もありますので、自社に合ったパートナーを探すことが、IoT実現の近道になり得るのです。

おわりに

以上、確かに、ものづくり企業がIoTを活用しようとするときには、さまざまな課題もあります。しかし、その一方で、IoTは製品やサービスの品質向上やコスト削減に寄与するだけでなく、新たなビジネスモデルの創出や競争力強化へとつながる可能性を秘めています。だからこそ、課題を乗り越え、積極的な取り組みによりその恩恵を享受すべきではないと考えます。
ものづくり企業の皆様は、自社の事業目的や現状をしっかりと見つめ直し、どのようにIoTを活用できるか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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