IoT開発に拡張性を!ハイブリッド型データ連携ソフトウェアで 進化するIoTへ

IoTシステムでは、現場とクラウドをつなぐ掛橋の役目を担う機器やソフトウェアが必要になります。IoTシステムの導入を検討している人の中には、どのような機器でデータ連携を実現するべきか、お悩みの方も多いのではないでしょうか?
今回紹介するデータ連携ソフトウェアは、ソルティスター社の「SpeeDBee Synapse」という製品です。以下のような課題を持っている人にとって参考になると思います。

・費用対効果のあるシステムの導入を目指しているが、まずはスモールスタートで開始したい
・将来的なシステムの機能拡張に備え、柔軟性や拡張性の高い機器やソフトウェアを選定したい
・ データ連携のための機器やソフトウェアの類似製品が多く、どれを選定すべきか判断できない


記事の後半では実際に「SpeeDBee Synapse」を動かした結果を公開します。
ぜひ最後までご覧ください!

目次[非表示]

  1. 1.何がハイブリッドなのか?
  2. 2.ハイブリッドの何が嬉しいのか?
  3. 3.ハイブリッドであるがゆえに、増え続ける機能
  4. 4.どのような機能があるのか?
  5. 5.どのハードウェアで動かすかも重要
  6. 6.実際に使ってみた
  7. 7.ソフトウェア、ハードウェア、そしてもう一つの要
  8. 8.まとめ

何がハイブリッドなのか?

まずは、この記事のタイトルにある「ハイブリッド」について説明します。
当社では、IoTシステムの開発や導入の実績が多くありますが、ゲートウェイを使ったデータ連携機能は、以下に示すどちらかの手段で実現することが多いです。

・ 要件に合わせてゼロからソフトウェアを開発する(スクラッチ開発)
 ・データ連携の機能を有する既製品(パッケージソフト)を利用する

どちらの実現方法も一長一短あります

実現方法

メリット

デメリット

スクラッチ開発

・ゼロから開発するので要件に合った機能を実現しやすい

・開発費が高額になることが多い
・導入までの期間が長い
 (開発期間が必要)
・あとから機能追加をする場合は追加の開発費が発生する
パッケージソフト
・スクラッチ開発と比較した場合、費用を抑えられる場合が多い
・すぐに使い始めることができる
・利用できる機能が決まっているため、要件に合った機能を実現できない場合がある
・基本的に後から機能を追加することできない


「SpeeDBee Synapse」は、パッケージとして組み込まれている機能が豊富であるため、
すぐに利用できる機能が数多くあります。一方で、独自の機能(独自のコンポーネント)を作れる仕組みがあるため、要件に合わせた機能を実現しやすい特徴があります。
つまり、パッケージソフトと開発(※1)の良いところを併せ持っているデータ連携ソフトウェアという意味で「ハイブリッド型データ連携ソフトウェア」と表現しました。

※1 スクラッチ開発ではなく一部機能の開発


ハイブリッドの何が嬉しいのか?

IoTの導入を検討されているお客様から、「まずはスモールスタートでデータの見える化から開始し、並行して具体的なデータ活用を検討したい」といった話を聞くことがあります。
このような場合、費用を抑えるためにパッケージのデータ連携ソフトウェアを使うことが多くあります。そして、見える化の後にデータ活用の検討が進むと、

・追加で〇〇設備のデータも取得したい
・ゲートウェイでアラームを検出したい
・異常検出時に現場の機器を制御したい

といった要望が出てくることが多々あります。このような場合に、機能を拡張できないパッケージ製品だと対応できないことになり、ゲートウェイやデータ連携ソフトウェアの選定を一からやり直すことになりかねません。
「SpeeDBee Synapse」のようなパッケージ製品の要素もありながら、後から機能追加できる製品であれば、選定し直す必要も買い換える必要もありません。
つまり、IoTシステムの導入を段階的に進めるようなケースでは、「SpeeDBee Synapse」のようなハイブリッド型のデータ連携ソフトウェアが適しているのです。


ハイブリッドであるがゆえに、増え続ける機能

「SpeeDBee Synapse」には、独自の機能を作れる仕組みがあると説明しました。この機能のおかげで「SpeeDBee Synapse」につながるものが続々と増えています。
ソルティスター社の情報によると、以下に示すものはカスタムコンポーネントとして作成され、接続実績が公表されています。

カスタムコンポーネント

説明

Bluetoothコレクタ

SwitchBot(温湿度/照度/プラグミニ/CO2)

クラウドサービスコレクタ

Sigfoxクラウド、NailEdge(1NCE)、おんどとり

I/Oポート用コレクタ

4-20mAのアナログ入力、デジタル入力

データベースエミッタ

PostgreSQL、SQLServer、SQLite、Oracle

スケジュールコレクタ

稼働時間/稼働間隔でのコンポーネント制御

FILEコレクタ

CSVファイル、JSONファイルからのデータ取り込み

WEB-APIでデータ活用

Grafana、ExcelアドインforSynapse(仮称)


ソルティスター社は、今後、カスタムコンポーネントのソースコード(サンプル版)を保守サイトからダウンロードできるようにする予定とのことです。
このように、自分たちでカスタムコンポーネントを開発しない場合でも、接続できるものが増えていき、知らず知らずのうちに高機能になっているというのも、「SpeeDBee Synapse」の魅力だと言えます。


どのような機能があるのか?

「SpeeDBee Synapse」には、以下に示す5種類の機能があり、機能毎に複数のコンポーネントがあります。(各コンポーネントの詳細はこちら【外部サイト】

機能分類
コンポーネント
収集
(コレクタ)
PLCコレクタ
Modbus TCP コレクタ
EthernetIP コレクタ
MQTT コレクタ
リソースコレクタ
演算コレクタ
集約・保存
(ロジック)
JSON
CSV
分析
(ロジック)
イベントデータ
イベントトリガ
基本統計
FFT
移動平均
送信・連携
(エミッタ)
Azure エミッタ
AWS IoT Core エミッタ
FTP / FTPS / SFTP エミッタ
MQTT エミッタ
File エミッタ
制御・通知
(アクション)
シェルコマンド
メール送信
Modbus 書き込み
PLC 書き込み


上記の機能以外にも、IPカメラを接続してドラレコのように異常検出時の動画を記録する機能や、取得したデータを簡単にグラフ化する機能もあります。
「SpeeDBee Synapse」は、単なる現場データの収集・送信だけでなく、取得したデータの監視や現場の機器制御、IPカメラ連携もできるので、スマートファクトリーを実現するための機器としても利用することができます


どのハードウェアで動かすかも重要

「SpeeDBee Synapse」は特定のプラットフォームやゲートウェイで動作させることができます。当社のIoTゲートウェイ「CONEXIOBlackBear」も対応しています。
「CONEXIOBlackBear」は、対応しているインタフェースが多い特徴があり、この特徴が「SpeeDBee Synapse」の良さを引き立てています。

ある設備からデータを取得することを考えた場合、その設備と通信するためのインタフェースが必要になります。例えば、有線LANだったり、RS-485だったり。そういった通信のためのインタフェース(土台)があったうえで、データを収集するためのソフトウェアが動作し、実際にデータを取得できるようになります。
そういった意味で、「CONEXIOBlackBear」の豊富なインタフェースは、「SpeeDBee Synapse」と相性がよいといえます。

「CONEXIOBlackBear」の詳細はこちら!

  CONEXIOBlackBear | コネクシオIoTソリューション コネクシオは”海外利用可能”・”車載可能”な堅牢性、AI連携を想定したエッジコンピューティング・ゲートウェイ『CONEXIOBlackBear』を開発しました。IoTゲートウェイ|エッジコンピューティング|海外利用|車載利用|コネクシオブラックベア コネクシオ IoT


実際に使ってみた

「CONEXIOBlackBear」+「SpeeDBee Synapse」の組合せで、実際に動かしてみました。
試してみたことは以下の内容です。
 
1.       アナログ入力(4-20mA)を変換したデータをSpeeDBee Synapseで収集
2.       収集したデータの監視(閾値を設定)
3.       閾値を超えたら、パトランプ(赤)を点灯させ、(緑)を消灯させる
4.       閾値を超えたタイミングで、前後10秒間の動画を取得する

 
今回の構成では「CONEXIOBlackBear」のインタフェースは、Ethernet(有線LAN)とDO(デジタル出力)を使っています。


システム構成図

「SpeeDBee Synapse」の各種コンポーネントを組み合わせて作成したデータフローは、下図のようになりました。

コンポーネントを組み合わせて作成したデータフロー

アナログの入力値を手動で徐々に上げていくと、設定した閾値を超え、意図したとおり、パトランプが緑から赤に変わりました
閾値を超えたときの動画も記録されていて、手動でアナログの入力値を操作している証拠がばっちり記録されています。現場に取り入れた場合は、異常発生時に何が起こったのかを映像で確認することができます。
動画を確認しながら、取得しているデータの値を確認できる機能も、異常発生時の状況把握に役立ちそうです。


SpeeDBee Synapse の録画再生画面


ソフトウェア、ハードウェア、そしてもう一つの要

単なる現場データの見える化だけでなく、スマートファクトリーのような複雑なシステムの実現や本当に効果があるデータ活用を考えた場合、ソフトウェアとハードウェアに加えて開発力が重要な要素になってくると思っています。
例えば、「SpeeDBee Synapse」で独自のコンポーネントを作り込む場合も、実際の用途に合わせたWebアプリケーションを作り込む場合も、開発力が必要になってきます。
コネクシオは、これまでにIoTシステムの開発や導入の実績が多くあります。
 
▼コネクシオのIoT導入実績はこちら!

  コネクシオ IoT導入事例 本コーナーでは、コネクシオ株式会社のIoTソリューションのプロジェクトの事例を順次ご紹介いたします。納入実績は、M2M黎明期から数えて20年以上、30万台を超えます。プロジェクト個々に課題があり、現場へ赴いて、一つ一つ検証しながら解決へと導いてきました。 コネクシオ IoT

筆者自身もIoTシステムの開発に携わっていますが、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせだけでは実現できない要件を幾つも経験しています。


まとめ

IoTシステムの導入に役立つソフトウェアとして「SpeeDBee Synapse」を紹介しました。
当社のIoTゲートウェイ「CONEXIOBlackBear」との相性も抜群です。
 
2025年4月にリリースした当社のスマートIoTプラス(装置データ活用)は、
「CONEXOIOBlackBear」+「SpeeDBee Synapse」を使って見える化をすぐに実現したい人向けのソリューションです。
見える化の後、より複雑なシステムに移行したい場合は、当社のエンジニアが開発を請け負うことも可能です。IoTシステムの導入を検討されている方は、候補の一つに加てみてはいかがでしょうか?

▼スマートIoTプラスの詳細はこちら

  スマートIoTプラス_総合 コネクシオの提供するスマートIoTプラスは、製品やサービス、事業とIoTを“つなぐ”ことで、ビジネスに新たな価値を生み出すソリューションシリーズです。|IoT|遠隔監視|予防保全|統合監視|エネマネ コネクシオ IoT


Mr.Bear

Mr.Bear

コネクシオのIoTシステム開発課に所属し、10年以上にわたりIoTシステムの開発に携わってきた有識者。積み上げてきた知見を駆使し、お客様のご要望に合わせたシステムの提案を行います。 CONEXIOBlackBearを使って色々な実証実験を行っています。
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