AIによる画像解析で何ができる? 仕組みや活用シーン
自然災害や事故、システム障害などの緊急事態で事業活動が停止した場合、取引先との関係悪化や利益減少などのリスクがあります。
企業を取り巻くさまざまなリスクの発生を予防する取組みとして、AIによる画像解析技術の活用が挙げられます。人が行ってきた監視・検査などの作業をAIが対応することで、精度の向上や予知保全の実現が期待されています。
しかし、IoT機器の導入を検討している担当者のなかには、「仕組みがよく分からない」「どのような業務で利用できるか知りたい」といった方もいるのではないでしょうか。
この記事では、画像解析の基本概要やAIによる画像解析の仕組み、活用シーンについて解説します。
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画像解析とは
画像解析とは、カメラやセンサーなどで取得した画像を、コンピューターの認識技術によってデータ化・分析・判別する技術のことです。
人が目で見て画像を確認する場合、対象物を判別できる情報量には限界があるため、見逃しや誤検出などが発生しやすくなります。
一方、コンピューターによる画像解析では、画像に映っている人やモノなどの対象物の形状・動き・面積などのさまざまな情報を測定して、機械的な判別・処理が可能です。目視と比べて、画像解析の精度・スピード・データ量の向上が期待できます。
また、人が行ってきた点検・監視などの作業を自動化することで、省人化や業務効率化につながることもメリットの一つです。
AI×画像解析で識別精度が向上
従来の画像解析にAIが加わることで、画像データの識別精度が向上して、より高度な活用ができます。
AIを活用した画像解析では、大量の画像データを学習・蓄積させて、AIが自ら画像を識別・判別する機械学習という仕組みが取り入れられています。
学習・蓄積した画像データを基に、人やモノの細かな特徴を識別できるため、画像解析の精度向上が可能です。
また、取得した画像データをAIが分析・予測することで、機器の制御や異常の検知などを行うことができます。リアルタイムでの画像解析・判別によって、設備機器の故障予測や異常の予知検知などにも役立てられます。
AIを用いた画像解析の活用シーン
AIによる画像解析が活用されているシーンを5つ紹介します。
①本人認証
施設の入退室管理やセキュリティ対策などで活用されています。
AI技術であるディープラーニング(※)によって顔や指紋の画像データから特徴を解析して、データベースに登録した人の顔・指紋と照合することが可能です。
入退室管理を自動化することで、セキュリティ強化だけでなく、人件費の削減にもつながります。また、入退室のデータが記録されるため、不正防止にも役立ちます。
※ディープラーニングとは、深層学習と呼ばれており、人が行う作業をコンピューターに自動で分析・学習させる技術のこと。
②食品・製品の検品
AIによる画像解析は、工場や生産ラインにおける検品作業にも活用されています。
事前に登録した食品・製品の画像情報を照合して、不良品や故障品を自動で判別することが可能です。
検品作業に活用することで、安定した品質の実現や生産性の向上などにつながります。また、人材不足の課題解決にも貢献します。
③生産設備の監視
AIによる画像解析は、設備機器の動作や劣化状態を監視・分析して、故障予測を行うシーンで活用されています。
カメラで撮影した画像データを基に、製品の色ムラや汚れ、個体差などを検出して自動で検知・判別します。また、設備自体のデータを収集することで、部品の劣化具合を分析して、故障・不具合を予測することも可能です。
生産設備の監視にAIの画像解析を活用することで、不良品の見逃し防止や予知保全につながります。
④川の量水標の推定
AIによる画像解析は、地域における自然災害の対策としても活用されています。
河川にIoTカメラを設置して、川の量水標を撮影することによって、取得した画像からAIが河川の推移を分析・推定します。
危険水域を超えた場合には、アラート通知されることで、大雨や台風が起きた際に迅速な避難対応が可能です。
⑤交通カメラでのリアルタイム監視
道路に設置した交通カメラで運行状況をリアルタイムに監視して、事故や異常発生を早期に検知することが可能です。
AIに通常時の人や車の動きを学習させることによって、正常時とは異なる動きがあった場合に、自動で検知されます。
異常が発生した場合には、管理センターや係員などに通知が行くため、早急に対応できます。
まとめ
この記事では、画像解析について以下の内容を解説しました。
- 画像解析の概要
- AIによる画像認識で精度向上
- AIを用いた画像解析の活用シーン
画像解析は、カメラで撮影した画像データを基に、コンピューターが人やモノを判別する技術です。
近年では、AIを取り入れた高精度な画像解析技術が登場しています。AIを用いた画像解析では、機械設備の異常検知や川の水位・道路交通の監視など、予知保全やライフラインへの事故・災害対策にも活用が期待されています。