企業がSDGsに取り組む重要性やIoT・AIとのつながりについて
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年の国連サミットで採択された国際的な開発目標のことです。
2030年までの達成を目指した、世界における17の目標が掲げられており、IoTやAIといったデジタル技術の活用もその一つの取組みとされています。
近年、こうした取り組みを積極的に行う企業が増加しています。
本記事では、企業におけるSDGsの重要性やSDGsとIoT・AIのつながりについて解説します。
出典:外務省『SDGsとは?』
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企業がSDGsに取り組む重要性
SGDsとして世界全体で掲げている17の目標、169のターゲットには、日本国内ですでに達成しているものもあります。しかし、達成した目標のなかには、国際協力の面で今後も日本が取り組む必要がある課題も含まれています。そのため、特に注力していく目標を再構成して、優先的な課題として掲げています。
2016年12月に公表された外務省『持続可能な開発目標(SDGs)実施指針』のなかでは、日本が優先的に取り組む課題に対する取組みとして8つの優先課題が挙げられています。
▼SDGs優先課題
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日本の経済成長や雇用を担う企業には、国際社会の一員として、SDGs達成に向けた取組みが求められています。これらの取組みを無視した事業活動を行う場合は、企業評価の低下や顧客離れによって、企業の存続を揺るがすリスクがあると懸念されています。
また、企業がビジネスを通じてSDGsに取り組むことは、中長期的に企業価値を向上させて、市場での競争力を高めるためにも重要です。SDGs達成に向けた新技術や新たなビジネスモデルを導入することで、未開拓の市場を獲得する機会になり得るとも期待されています。
出典:経済産業省『SDGs経営ガイド』/外務省『持続可能な開発目標(SDGs)実施指針』
日本企業のSDGs取り組み状況と効果
2022年に行われた調査では、SDGsの「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」または「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」企業の数は前年度から12.5ポイント増の52.2%となりました。SDGsの達成に向けた取り組みに対する企業の意識は前年より大きく拡大し、半数以上の企業が前向きな姿勢を示していると言えます。
また、SDGs各目標に力を入れている企業の66.5%が、行った取り組みの効果を実感していると回答しています。
▼SDGsへの取り組みによる主な効果(複数回答)
企業イメージの向上 :37.2%
従業員のモチベーションの向上 :31.4%
経営方針等の明確化 :17.8%
採用活動におけるプラスの効果 :14.0%
取引の拡大(新規開拓含む) :12.3%
競合他社との差別化 :11.5%
売り上げの増加 :11.1%
など
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具体的には「企業イメージの向上」が37.2%。人材の定着率の向上につながり得る「従業員のモチベーションの向上」(31.4%)も3割台となり、企業の見られ方に関する効果が上位に並んでいます。次いで「経営方針等の明確化」(17.8%)、「採用活動におけるプラスの効果」(14.0%)、「取引の拡大(新規開拓含む)」(12.3%)が続きました。
SDGsへの取り組みが「売り上げの増加」につながった企業も11.1%となり、単なる慈善活動だと思われがちなSDGsをビジネスチャンスとして捉え、実際に売り上げの向上につなげた企業も出てきています。
出典:株式会社帝国データバンク『SDGsに関する企業の意識調査(2022年)』
SDGsとIoT・AIのつながり
SDGsの達成に欠かせない企業の取組みとして、IoTやAIといったデジタル技術の活用が挙げられます。
優先課題3の取組みとして、“成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション”が挙げられており、IoT・AIと深い関係性があります。実際、主な取組みとして、IoT・AI活用の推進や研究開発などの内容が盛り込まれています。
ここからは、SDGsとIoT・AIの関連性がある具体的な取組みについて解説します。
Society5.0の実現
日本が目指したい社会の姿として政府が提唱したSociety5.0(ソサエティ5.0)を実現することが、SDGsの達成に貢献するとされています。Society5.0は、政府が以下のように説明しています。
▼Society5.0の定義
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
引用元:内閣府『Society 5.0』
これは2016年に政府が策定した『第5期科学技術基本計画』において、新たな社会のあり方として提唱されました。
サイバー空間とフィジカル空間の融合とは、以下のような仕組みのことをいいます。
▼Society5.0で実現する社会の仕組み
- 設備機器の稼働情報・環境情報・人の動きなどをIoTやセンサーを通じて収集する
- 収集したビッグデータをAIで解析する
- AIが設備機器への指示・自動化や人への提案を行う
IoTやAIなどのデジタル技術を産業・社会全体に取り入れることで、付加価値を創出して、ニーズに対応したモノ・サービスを提供できるようになります。これにより、経済発展と社会的課題解決を両立させることが可能です。
このようなSociety5.0の実現には、IoTやセンサーなどを用いた情報基盤の整備と、ビッグデータの利活用に向けた取組みが必要です。
▼Society5.0の実現に向けたIoT・AIの活用例
▽農業
- IoTセンサー導入による生育情報・環境情報の自動収集
- 天候予測に基づく水管理の自動化・最適化
- ニーズに応じた収穫量の設定
- 経験・ノウハウの共有 など
▽モノづくり産業
- AIやロボット導入による生産の効率化・省人化
- 熟練技術の継承・モデル化
- AIによる需要予測・商品提案
- ニーズに対応した生産計画・在庫管理 など
▽エネルギー産業
- AI分析による的確な需給予測
- 発電所の需要調整・最適運転
- 温室効果ガス(GHG)削減による環境負荷の低減 など
出典:内閣府『Society5.0とは』『第5期科学技術基本計画』
Connected Industriesの実現
SDGsの取組みの一つに、未来志向の社会の基盤をつくるための『Connected Industries(コネクテッド・インダストリーズ)』の実現が挙げられています。
Connected Industriesとは、2017年に経済産業省が提唱した、新たな日本産業のあり方です。前述したSociety5.0を実現するための重要な取組みとして位置づけられています。
Connected Industriesを実現するには、データを介してさまざまなモノ・人・技術とつながるビジネスモデルの構築が必要です。つまり、モノとモノ・人とモノをつなぐIoTや、データ活用によって付加価値の創出を図るAIの存在が不可欠ということが分かります。
付加価値が生まれる産業社会を実現することで、SDGsの優先課題とされている“成長市場の創出”につながると考えられています。
▼Connected Industries実現に向けたIoT・AIの活用例
▽モノづくり産業
- IoTセンサーによる従業員の作業の見える化
- AI分析による業務フロー・プロセス改善
▽農業
- IoTセンサーによる温度・湿度計測
- ・ビニールハウス内の空調設備・潅水設備の自動制御
出典:経済産業省『Connected Industries』『1. 我が国が目指す将来の産業の姿 “Connected Industries”』
まとめ
この記事では、SDGsとIoT・AIとの関係について以下の内容を解説しました。
- 企業がSDGsに取り組む重要性
- SDGsとIoT・AIとのつながり
SDGsは、持続可能な社会を実現するために、世界全体で取り組む普遍的な目標です。
日本はグローバル化による競争の激化や、人手不足、環境保全などさまざまな課題を抱えています。また、雇用やイノベーションを率いる役割を担う企業には、SDGs達成に向けた積極的な取組みが不可欠です。
さらに、ビジネスを通じてSDGsに取り組むことで、企業価値の向上、労働環境の改善、競争力の向上などが見込め、自社の発展にもつなげることができます。
なかでも、IoTやAIといった先進的なデジタル技術の活用は、企業における新たな価値創造、成長市場の創出のための重要なカギとなります。SDGsの第一歩として、IoTやAIの導入によるビジネスモデルの変革を図ってはいかがでしょうか。
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